Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

入試において、受験生の本人確認をどこまで行うのか

high190です。
中央大学理工学部の2009年度入試で替え玉受験があったことが分かり、合格が取り消されるという事件がありました。


中央大学理工学部(東京都文京区)の2009年度入試で、志願者と、本人になりすまして受験した2人の顔写真をパソコンで合成して受験票にはり付け、大学側のチェックを逃れる替え玉受験があったことが分かった。不正は、匿名の投書がきっかけで発覚。2人の間にあった、小学校時代からのいじめの関係が、不正の背景にあったという。
再発防止策として中大は、10年度の募集要項に「志願者以外が志願者本人になりすまして受験すること」が不正行為にあたると明記。試験会場で、志願者と受験票の顔写真との照合を厳重にしたほか、答案と入学手続きの筆跡を詳しく調べるなどしている。
替え玉受験があったのは09年2月に行われた中大理工学部の一般入試。8255人が受験し、1822人が合格した。合格者の中に、首都圏の公立高校を卒業し、当時、一浪中だった男子もいた。
しかし、合格発表後、浪人生と、なりすまして受験した都内の私立大学の理系学部に通う学生を名指し、替え玉を告発する匿名の投書が、中大と、この私大に届いた。入学手続きに来た浪人生に事情を聴いたところ、不正受験を認めた。このため中大は同年4月に合格を取り消した。

写真の合成が可能である以上、似たような替え玉受験は今後も起こり得る可能性があります。
問題は本人確認のコストをどこまで大学が負担できるのか?ということにあると思います。

今回の不正について、中大関係者は「初めは信じられず、投書がなければ見過ごしていただろう。受験の本人確認は性善説に立っている。さまざまな機器が発達し、違った形の本人確認を考えないといけない時期にきているかもしれない」と話した。
中大広報室は「手口をまねされる恐れがあるため、不正の詳細については言えません」としている。

「受験の本人確認は性善説に立っている」というのは、どこの大学でも同じです。入試当日は問題の配布・回収など大学側でもやらなければいけないことがたくさんあり、かつ入試ミスを防ぐために各大学では色々な措置を講じています。
つまり、本人確認を入試当日に行うのは事実上難しいということです。上記記事には「違った形の本人確認を考えないといけない時期にきているかもしれない」とありますが、合成写真に対応した形の本人確認方法は、大学側の負担が少なく、かつ信頼性が高くなければなりません。筆跡確認などの方法もありますが、志願票と答案を見比べるのは相当な手間がかかります。
大学入試の根本を揺るがしかねない今回の事件、大学に与える影響は大きいように感じます。

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