Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

卒業後3年間は新卒扱いに?日本学術会議が提案

high190です。
大学生の就職のあり方について議論している日本学術会議分科会で「卒業後最低3年間は新卒扱いに」という提案を文部科学省にするそうです。


大学生の就職のあり方について議論している日本学術会議の分科会は、新卒でなければ正社員になりにくい現状に「卒業後、最低3年間は(企業の)門戸が開かれるべきだ」とする報告書案をまとめた。最終報告書は近く、文部科学省に提出される。同会議は、今の就職活動が、学生の教育研究に影響しているとして、新しい採用方法の提案などで大学教育の質についての検討にもつなげたい考えだ。
日本学術会議は、国内の人文社会・自然科学者の代表機関で、文科省の依頼を受けて話し合っている。報告書をもとに同省は議論に入る。
今回、就職にかんする報告書案をつくったのは「大学と職業との接続検討分科会」で、就職活動早期化で、大学4年間で学ぶ時間を確保できにくくなっている弊害などが出ていることから、対策を考えてきた。
日本の企業は、大企業を中心に、新卒者を採用する傾向が強い。中途採用はあるものの枠は狭く、希望の企業に採用されなかった学生が「新卒」の肩書を持つために、留年するケースもある。
報告書案では、「新卒一括採用方式」について、特定の世代に景気変動の影響が出やすい点を問題視。卒業後すぐ採用されなければ正社員になるのが難しいことから、卒業後最低3年は在学生と同様に就職あっせんの対象にすべきだとした。
企業側にも新卒要件の緩和を求め、経済団体の倫理指針や法律で規制するより、既卒者を新卒者と同じ枠で採用対象とする企業を公表することを提案。政府にも、卒業後も大学の就職支援を受けられるように法律を改正するなど速やかな対応を求めている。
また、就職活動で学生が学業に打ち込みにくくなっている現状についても、規制のみで対応することには限界がある、と記述。大学が学生をできるだけ長く社会から隔離するのではなく、インターンシップなどの機会を早くから整備することが重要とした。
大学が就職活動のスキルやノウハウを伝え、資格をとるよう促す動きについては大学教育全体で職業的な能力を育て、成績評価を社会でも意味を持つよう改善することなどを求めた。

「特定の世代に景気変動の影響が出やすい」というのはまさしくロストジェネレーションのことですね。
ちなみにこの記事については、経済学101のrionさんもブログでコメントしています。

(上記記事より一部抜粋)

新卒至上主義を解決するのに新卒概念を拡大してもしょうがない。正社員になりにくいからといってみんな正社員にしろといっても(国有企業でもなければ)問題は解決しないのと同じだ。既卒者・転職者が不利というのは結果であって原因ではないのだから、一見誰も痛まない策をでっち上げたところでしょうがない。

新規一括採用については、正直なところ、「制度的には一括で採用した方が選抜のコストも少ないし、他のところと足並みを揃える上でもいいや」という企業側の都合によると思います。ただ、大学生の新規学卒者が3年以内に3割離職している以上、新規一括採用だけでは企業にとっても安定した雇用は望めないはずです。

「新卒扱いが何年」というより、新卒が絶対だ!という状況を変えないことには、問題は解決しないと思います。

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