Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

政権交代で留学生30万人計画はどうなる?

high190です。
自民党から民主党に政権が移って半年、大学を巡る政策でも色々と変更がありました。
その中でも大きな変更になりそうなのが留学生に関する対応です。


独立行政法人日本学生支援機構の2009年度外国人留学生在籍状況調査の結果、国内の大学や大学院、短大、専修学校などに学ぶ留学生(2009年5月1日現在)は13万2720人と過去最高になったことが分かった。前年度より8891人増加していた。
留学生の受け入れ数では早稲田大学が 3144人と最も多く、次いで立命館アジア太平洋大学(2786人)、東京大学(2473人9だった。1000人以上の留学生受け入れ大学は筑波、大阪、九州、京都、国士舘、東北、名古屋、大阪産業、立命館、拓殖、東京工業、日本、慶応義塾、神戸の17大学だった。
在学段階別では、大学院が3万5405人、大学や短大、高専が6万7108人、専修学校(専門課程)が2万7914人、準備教育課程が2293人で各段階ともに前年度より増加している。
留学生の出身国別では中国が7万9082人で全体の59.58%を占めた。次いで韓国(1万9605人、14.77%)、台湾(5332人、4.01%)、ベトナム(3199人、2.41%)、マレーシア(2395人、1.8%)になっていた。留学生の92.3%はアジア圏からの留学で、欧州・北米地域からの留学は4.9%だった。また、13万2720人のうち、11万9317人は私費による留学生だった。

留学生が増加しているのは政府の方針である「留学生30万人計画」の影響も大きいと思います。現時点で13万人という数字は過去最高とのこと。
留学生30万人計画の計画骨子は下記URLで確認できます。2020年を目途に留学生の数を30万人まで増やすことを目的としています。

しかしながら、つい最近になって留学生の一部を学費を免除する補助金「政府開発援助外国人留学生修学援助費補助金制度(授業料減免学校法人援助)」が今年度限りで廃止になることを通知する文書が各大学宛に発信されています。留学生を増やすという方針自体は、日本の高等教育のさらなる発展のために大いに歓迎すべきことだと思いますが、受入制度をどのように整えていくのかも重要なポイントだと思います。

補助金が無くなることで授業料の減免を受けられなくなるとすれば、留学生にとっては大きな痛手です。このことによって日本に来る留学生が減る可能性も考えられなくはありません。代替の制度ができるのかどうか、今後の動向を注視する必要がありますが、留学生30万人計画自体が存続するのかについては、将来戦略を立てる上でも大学にとっては非常に関心のある情報です。大学経営上、今後は留学生の受入とそれに伴う教育を拡充することは不可避だと思われるため、補助金の上でも何らかの措置を講じてもらいたいところですね。
補助金の廃止を通知する文書には、私費外国人留学生等学習奨励費や私立大学等系経常費補助金で留学生受入れのための支援を拡充すると書いてあります。

留学生30万人計画の実現に向けて、行政と大学のさらなる協力体制強化が必要です。

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