Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

多発する入試ミスをどのように防ぐか?

high190です。

入試の時期になると合否判定などのミスの話が、毎年必ずニュースになります。


のべ300万人以上が受験した昨シーズンの国公私立大入試で、大学側の「ミス」が283件(156校)に上ったことが、文部科学省の調査で分かった。特に私立大は統計を取り始めた2003年の2・6倍に増えており、学生獲得のために受験機会を増やした結果、問題作成が多くなってチェックがおろそかになった面も指摘されている。
合否に影響したミスは国公私立大で計23件。今週末に実施される大学入試センター試験をはじめ、今シーズンは新型インフルエンザの影響で追試験を実施する大学も多く、ミスが続出する可能性もある。
調査は、山形大で過去5年間で合格者400人以上を不合格にしていたミスが01年に判明したのを機に、同省が03年入試から開始。同年のミスは、全国で157件(110校)だったが、その後、ほぼ毎年増え続けている。
私立大のミスは、03年の86件から、昨シーズンは222件に増え、全体の約8割を占めた。文科省によると、全体の9割が出題と採点に関する誤りだという。

大学入試は受験生の一生に関わる大事な出来事です。よって失敗は許されません。
しかし、このようにミスが多発する理由としては上記の記事にもあるよう、入試部門の負担が増えているということが挙げられると思います。

つい最近ではこんなニュースもありました。


首都大学東京(旧東京都立大学、八王子市)が昨年12月、2010年度の推薦入試で不合格となった男子受験生1人に、合格者に必要な関係書類を誤って郵送していたことが18日、分かった。
大学によると、昨年12月2日、大学敷地内で都市教養学部の推薦入試に合格した受験番号を掲示。職員が同日、受験番号を基に合格者に関係書類を発送した。
ところが同4日、書類を受け取った男子受験生から「受験番号が違う」と大学に電話があり、ミスが分かった。職員が郵送する受験番号の住所を見誤ったのが原因という。受験生は掲示板で不合格を知っていたという。
大学側はその日のうちに受験生や保護者、高校に謝罪し、合格していたのに書類を送っていなかった男子受験生にも連絡し謝罪した。
不合格の受験生側は合格扱いを要求。大学側は「合格扱いにはできない」として、受験生側と交渉を続けているが、全面的な了承が得られていないため、これまで公表を控えていたという。

間違えられない合否関係でミスが出てしまう。このようにヒューマン・エラーは起こり得るものとして想定しておかなければなりません。
予算編成の面で難しいかも知れませんが、入試時のみ派遣会社を通じて増員を図るとか、入試のチェック体制について学内でプロジェクトチームを作り、合否発表・通知までのプロセスを洗い出すとか、地道に取り組み続ける必要があります。他大学の例を参考にするのもいいと思います。(入試ミスを防ぐための参考リンクを下記に挙げます)

ただ、これだけは言えると思いますが、入試でのミスは信用失墜に繋がる大きなダメージを大学に与えます。
これは他人事ではなく、どの大学でも起こりうることです。対応策を毎年考えることがリスクマネジメントに繋がると思います。

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