Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学卒業後の専門学校進学者数が増加傾向に

high190です。
過去記事でもお伝えした通り、今年は大学卒業者の就職がかなり厳しくなりそうです。学生たちは就職に向けて卒業後に専門学校へ進学するという新たな道を探り始めています。


(上記記事より一部抜粋・赤字はhigh190の強調部分)

不況で雇用情勢が悪化する中、就職が決まらない大学や短大の卒業生が専門学校に入学するケースが増えている。大手の中には、そのような入学者が3年前の1・5倍に増えた専門学校も出てきた。卒業後、自力で就職活動を続けたり、「就職浪人」で大学に残るより、専門学校できめ細やかな指導を受け、就職に直結させようという人が多いためとみられる。

日本では新規一括採用が慣例になっていて、大学卒業後の履歴に穴があくと就職しづらくなることが大きな要因だと思います。
大学では学べない、職業に直結する資格を取得することで職業能力を身につけようということです。
このような状況を受け、大学側での就職指導体制についても変化が求められてきていると思います。


職員としてのアプローチにも、単純に就職ありきではなく、学生の希望に沿って専門学校を勧めることもこれから増えてくるでしょう。
大学のキャリアセンターは、キャリア・デベロップメント・アドバイザー資格(CDA)保持者の採用、専門学校に関する資料なども揃えておく必要があるかも知れませんね。私個人の印象としては、大学の就職課はあまり専門学校に関する知識を持っていないと思うのですよ。大学職員はもっと専門学校と大学の違いを理解しておく必要があると思います。一番の違いは学位が取得できるということでしょう。


昨年には中央教育審議会・大学分科会が、全国の大学・短大で就職指導を授業で実施する方向で検討を始めています。また、新たな学校種である「職業大学」の創設も検討されています。


大学卒業後、専門学校に進学する学生が出てきているということは、職業大学が世に求められている表れなのかも知れません。このことに関連しますが、大学進学の意味を問うにあたり、就職は切り離せない重要な問題です。*1経済系・経営系の大学なら、今のままでも十分な職業教育を行える可能性はあるでしょうし、将来研究者を目指すなら研究志向の大学に進学した方がいい。
このことを考えても、日本の企業は新卒一括採用制度を早くやめた方がいいと思います。もっと柔軟な採用形態にした方が、学びの形をもっと広げられるし、色々なことを学んだ学生が増えた方が企業にとってもいいはずですよね。

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*1:大学って教養のためにあるの?(その2−若者編)−http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-244.html