Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

OECDが「国際成人力調査(通称:PIAAC)」を2011年から実施

high190です。

恐らく教育関係者の方なら一度は耳にしたことがある、OECDが実施している生徒の学習到達度調査。(通称:PICA=Programme for International Student Assessment)2006年に実施された前回の調査では、各項目で軒並み順位が下がったため、教育界では「PICAショック」とも言われています。
OECDでは2011年から成人向けの調査を実施するそうで、鈴木文部科学副大臣は日本も参加すると発表しました。


鈴木寛文部科学副大臣は19日の定例記者会見で、読解力や数学力など社会で必要とされる力を測るため、経済協力開発機構OECD)が成人を対象に実施する「国際成人力調査(PIAAC)」に日本も参加すると発表した。
15歳を対象にしたOECDの学習到達度調査(PISA)の結果は、各国の教育政策に反映されている。PIAACはこの“成人版”で、2011年から調査する。鈴木副大臣は「円滑に行われるよう国民にご協力いただきたい」と語った。
調査には日本を含め米国、英国、韓国、オーストラリア、フィンランドなどOECD加盟国を中心に25カ国が参加。調査対象は、各国5千人ずつを無作為抽出した16〜65歳の「成人」。調査員が示すパソコン画面を見ながら答える。
文科省によると、調査項目は「読解力」「数学力」「情報技術(IT)を活用した問題解決能力」で、学歴や収入なども尋ねる。例えば、商品の説明書を読んで注意すべき点を考えるなど、日常生活の場面を想定して知識の活用力を測る。
10年に予備調査、11〜12年に本調査を実施、結果公表は13年の見通し。

国際成人力調査(通称:PIAAC=Programme for the International Assessment of Adult Competencies)については、国立教育政策研究所のWEBサイトに調査の目的、調査項目及び方法が掲載されています。

(上記WEBサイトより引用)

    1. 今日の社会で求められる力(知識やスキルだけではなく、動機や行動の特性を含む人の力。コンピテンシー。)を特定し、その力を各国の成人がどの程度有しているかについてのデータを収集すること
    2. 個人の力が、本人の社会的成功にどの程度関係するか、また、国の経済的な成長など、社会全体としてどのような成果を生むかを検証すること
    3. 現在の教育訓練の制度が、社会が求める力を身につける上でどの程度の効果をあげているのか検証すること
    4. 今日の社会が求める力を向上させるには、どのような政策手段が有効であるかを明確にすること

調査対象者は、「無作為に抽出された日本国在住の16歳以上65歳以下の男女個人」だそうです。

この調査の結果は重たーいものになりそうですね。最近では社会人基礎力やジェネリックスキルなど、社会人としての能力に関する様々な定義がありますが、国際比較を行うことでグローバルに通用する力が何であるのかより明らかになることは、高等教育機関である大学にとっても重要な意味を持ちます。

(上記記事より一部抜粋。強調部分は本ブログ筆者による)


経済協力開発機構OECD)は、これまでデータがほとんどない、「成人が社会で必要とされる能力」を測る初の世界的調査「国際成人力調査(PIAAC=ピアック)」を2011年に実施する。
日本も、文部科学省国立教育政策研究所が主体となり調査に参加し、「日本の大人の学力」の把握と国際比較に乗り出す。結果は13年に世界同時公表される見込み。

(中略)

同研究所は「これまでデータがなかった成人の能力、スキルが把握できるので、大きな意義がある。世代間の能力差など、教育を考えていく上でも貴重なデータとなる」としている。

2013年(平成25年)に世界同時公表らしいのですが、貴重な調査で結果も楽しみな分、高等教育に対する反響も非常に大きそうですね。
それこそ「大学は何をやっているんだ!」と世間の皆さまからお叱りを受けそうな感じがします。。。まあ、今に始まったことではありませんが。社会に役立つ人材を育成するという大学の根幹に関わる問題が、大きく浮き彫りになりそうな調査です。

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