Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省は読売新聞「大学の実力」の文部科学省版を始めるのか?

high190です。
文部科学省は中退率や在学数、入試別入学者の情報公開を今後大学に求めていくそうです。


文部科学省は5日、国公私立大学に公表を義務づける教育情報の項目を盛り込んだリスト案を中央教育審議会文部科学相の諮問機関)大学分科会の部会に示した。5分野、計17項目からなり、大学側が積極公表してこなかった「中途退学(中退)率」や「在学者数」などが含まれた。受験生らの指標にしたい考えで、さらに項目を精査し、年度内の大学設置基準の改正を目指す。


「受験生の指標に」 義務づけ検討

リストで示されたのは、教育の質を向上させるために大学が積極的に公表すべきと、文科省が判断した情報で、「教育」「学生」「組織」「経済的枠組み」「学習環境」の5分野。
例えば、「学生」の分野では、「中退率」が盛り込まれた。中退率は、入学後の進級の厳しさを示す一方、不本意入学の多さなどにもつながるデータで、経営に直結するため大学が出したがらないのが実情だ。
このほか、収容定員との差し引きで定員割れの実態が分かる「在学者数」、推薦入試やAO入試での入学者数が分かる「入試方法別の入学者数」など、リストには大学側が公表に消極的だった情報が含まれた。
教育情報の公表は大学設置基準などで規定されているが、具体的な公表項目は各大学の判断に委ねられているのが実態。大学運営の基礎となる学則を公表している大学は41%(文科省調べ)に過ぎず、「説明責任を果たしていない」との批判もあった。

読売新聞が毎年実施している「大学の実力」で調査している内容に似ていますね。
情報公開をより積極的に進めていくことを各大学に求めていく訳ですが、どこまで強制力を持たせるのか。公表が義務化されると経営状況が明らかになりますので、現段階で経営が厳しい法人は情報を出したくなくなるのも分かる気がします。
この種の話だと大学の適性数や高等教育水準の維持などに議論が及びますが、個々の大学としては情報を公開することで教育・経営の改善に繋げたいところ。ただ、現状の経営状況を公開することで、どの程度経営に影響があるのかは公開してみないことには分からないのが大学側の頭の痛いところでしょう。
地方の私立大学などはギリギリのところで定員確保している法人もありますので、情報公開が学生募集にマイナスに働く可能性もあります。中小私大を切り捨てるのか、情報公開による経営改善に繋げるのか。また、在学中の学生がいて就職等で不利になるケースも考えられます。
セーフティネットも準備すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ
にほんブログ村