Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大阪の橋下知事が府立大学の在り方について私立大学学長と意見交換した件

high190です。
改革派知事として世間にすっかり認識された大阪の橋下知事
府政改革の一環として大阪府立大学を存続させるか否かについて、私立大学の学長と意見交換をしたそうです。

畑違いの相手にも積極的に意見を求めに行けるところこそ、改革派知事たる所以なのでしょう。


府立大(堺市中区)のあり方について検討している橋下知事は10日、関西、近畿、大阪工業の府内私立3大学の学長らと意見を交わした。私立大側から「府立大の研究成果は高く、大学院がしっかりしている」と実績を評価する声が上がる一方、府から多額の補助金が支出されていることに「もっと(私立と)平等にするべきで競争性が必要」と見直しを求める意見も出された。
橋下知事は「府立大がやっている研究自体は不必要とは思ってないが、府立でやる意味はあるのか」と、年間約100億円の府立大への運営補助金を疑問視した上で大学の魅力や存在意義の発信が不十分との認識を示した。

ちなみに今回、橋下知事が意見交換した私立大学学長は下記のとおりです。

また、現大阪府立大学理事長・学長の就任挨拶も参考までにリンクしておきます。

まあ、私立大学の学長から意見を聞けば補助金のことが出るのは当然のことで、より私学と国公立との財務的格差を是正していく必要があるというポイントに行きつくでしょうね。
橋下知事大阪府立大学の研究成果には一定の理解を示しつつ、大阪府が研究志向型の大学を設置することの意義について、是非を問いたいようですね。これは暗に国立大学法人である大阪大学への統合を示唆しているのでしょうか?個人的に仮説検証を試みると、研究を中心とするのは国立大学であり、府立大学は教育に重点を置くべきということが橋下知事の意見なのではないかと推察します。
大学の在り方については様々な意見がありますが、マーティン・トロウによる高等教育のモデルからすると「ユニバーサル段階」に入った大学は教育・研究のどこに重点項目を置くのかが重要になってきます。このことも踏まえつつ、橋下知事は府政改革を進めようとしているのだと思いますが、大学業界にとってもこのことは一大関心事です。
大学のユニバーサル化は既に進行しており、各大学が教育・研究のどちらを重視し、かつ独自の特色を打ち出すべきかが問われている時代です。公的部門も既にこのようなリフォーメーションを始めているのですから、私立大学も積極的に改革に打って出なければ生き残れない時代が到来していることを如実に示す事例だと思います。

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