Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

山形大学の“ダメ教員”をなくす試み

high190です。
今日のタイトル「ダメ教員」。我ながらタイトルにするのをちょっと戸惑いましたが、これは山形大学がFDの一環として作成しているもので、作成に学生と教職員が参画しています。


学生に不評な「ダメ教員」をなくそうと、山形大など4大学の教職員や学生がビデオ「あっとおどろく 大学教師NG集!」を制作した。山形大のホームページで近く公開する予定。
学生の声をもとに脚本化。同大学で撮影され、学生約40人が出演した。専門用語をまくしたてた後、ぼうぜんとする学生を「どうせ君たちにはわからない」と見下す教員、家族の自慢話で学生をしらけさせる教員……。12の寸劇が次々と展開される。
昨年4月に大学設置基準が改正され、授業の質の管理に組織的に取り組むことが大学に義務づけられた。山形大の小田隆治教授は「反面教師をあぶり出すことで何が望ましい姿かを考えてほしい」と話している。

確かにこの記事で指摘されているように、学生に対して高圧的に接する教員が一部いることは事実です。大学設置基準の改正に伴い、ファカルティ・ディベロップメントの実施が義務づけられることになりましたが、模範となるモデルだけではなく、反面教師的なアプローチの方がむしろ効果的かも知れませんね。ちなみに大学設置基準第25条の3に規定されている文言は下記の通りです。項目名は「教育内容等の改善のための組織的な研修等」です。

大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする。

山形大学では、現在の結城学長が着任してからFDネットワークつばさを立ち上げるなど、FDの普及・改善について積極的に情報を発信しています。大学設置基準で義務化されたからといって、学内のFD活動はそう簡単にうまくいくものではありません。モデルケースとなるところが必要な訳で、どの大学でも先導者の動きを注視するようになります。そういった意味では、山形大学はFD活動を強化することによって、他大学との違いを鮮明にすることに成功しています。

教員からすれば、自分の教育方法に対して色々注文が付くことは本意ではない部分もあるでしょうし、学内に強力な推進者がいないとFD活動を進展させるのはなかなか難しいと思われます。山形大学のニッチ分野強化戦略は見事だと思います。他の大学を巻き込んで実施しているところも高評価ですね。

これを機会に全国の大学からいわゆる“ダメ教員”が減ることを期待しましょう。

(2009/06/18 追記)
山形大学のWebサイトで映像が公開されていますので、参考までにリンク掲載します。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ
にほんブログ村