Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

親の行動と子どもの成績の関連性って教育学的にはどう説明できるんだろう

high190です。
今日は高等教育関連の話題から離れて、初等中等教育のニュースに視点を当ててみます。
お茶の水女子大学とベネッセ教育研究開発センターが共同で実施した調査によると、保護者の日常行動と子どもの学力には強い関係性があることが明らかになったそうです。


「成績上位の子どもの保護者は本をよく読む」「下位の子の親が好むのはテレビのワイドショー」。お茶の水女子大とベネッセ教育研究開発センターが共同で調査したところ、親をハッとさせるこんな結果が出た。保護者の普段の行動と子どもの学力には強い関係性があるという。
調査は07年11月〜08年2月、各地の5年生2952人と保護者2744人に実施。子どもにはベネッセのテストを解いてもらい、保護者には普段の行動などを選択肢から選んでもらった。
国語の成績をみると、上位4分の1の最上位層の保護者の70.6%が「本(漫画や雑誌を除く)を読む」と答えたのに対し、下から4分の1の最下位層は56.9%にとどまり、13.7ポイントの差があった。最上位層では「家には本(漫画や雑誌を除く)がたくさんある」という回答も72.6%あり、最下位層より24.6ポイント高い。「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした」も80.9%で、17.9ポイント高かった。
一方、最下位層の親に多いのは「テレビのワイドショーやバラエティー番組をよく見る」「カラオケに行く」など。
しかし、成績下位の子の親が子どもの学習に無関心というわけではない。「ほとんど毎日、子どもに『勉強しなさい』という」という答えは56.9%と、最上位層より5.7ポイント高かった。調査チームは、子どもの成績が思わしくないために小言を言いがちになるのでは、とみている。

やはり日常の生活で親の取っている行動が子どもに与える影響は大きいんですね。知的好奇心の強い両親の元に生まれた子どもは、その影響を受けることになります。ちなみに知的好奇心を喚起する書籍などの環境整備には、当然お金がかかります。これが教育格差=経済格差であるという議論を生み出す理由です。ちなみに、学校教育とこんな記事もありました。

(上記記事より一部抜粋。赤字部分はhigh190による強調)

宇沢は、そのような学校教育制度の激変を詳しく分析したものとして、サミュエル・ボールスとハーバート・ギンタスという二人の経済学者の研究を高く評価している。彼らは、アメリカの教育について実証研究を積み上げることで、ぶっちゃけていえば、「学校制度は、平等化機能を果たすどころか、不平等を助長してさえいる」、という実に過激な主張をしたのである。つまり、「子どもの学歴や成人後の成功は、親の社会的地位に最も大きな正の相関を持ち、IQテストの成績や子どもの実質的能力とはほとんど無相関である」、ということを言ってのけたのだ。

ちなみにサミュエル・ボールスとハーバート・ギンタスの書籍は↓です。

アメリカ資本主義と学校教育 1―教育改革と経済制度の矛盾 (岩波モダンクラシックス)

アメリカ資本主義と学校教育 1―教育改革と経済制度の矛盾 (岩波モダンクラシックス)

お茶の水女子大とベネッセの調査は、上記のボールス、ギンタスの研究を間接的にではありますが、何らかの裏付けを与えるものではないでしょうか。調査結果の全文はベネッセ教育研究開発センターのWebサイトで閲覧することができます。

分析編の第2章が該当する調査結果です。これから親になる人、既に親として日々子どもに接している人も目から鱗の内容になっているかもしれませんね。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ
にほんブログ村