Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

こんなところにもある、大学関係のニュースソース

high190です。
大学をめぐる情報は色々なメディアから出ていますが、情報はまさしく玉石混淆でその中から良い情報を選び出す目が大切だと私は思っています。新聞等の事実を報じるメディアも便利なのですが、企業経営者やコンサルタントなどの視点による大学関係の記事は切り口がちょっと違っているのでとても参考になります。
今日はそんな一風変わった大学関係のニュースソースをご紹介します。

企業などのコンサルティングを行っている日本総研では、在籍する研究員のコラムを定期的に更新しているのですが、その中に大学に関するものが結構たくさんあります。最も最近ではこんなコラムがありました。一部抜粋して紹介します。


(上記記事より一部抜粋)

もちろん、日米の学校法人制度や大学経営の仕組み、そして組織文化などが異なっているため一概に比較はできないが、我が国においても、学校債の社債化をはじめとした資金調達の多様化の動きが活発になっていることは、大学財務における資産運用の重要性を示していることに相違がない。国立大学法人においては株式の所有(寄附)や特許譲渡などの手法もあるが、国債による運用が基本となっている。しかしながら、運営費交付金の削減を受け、今後、民間金融機関からの資金調達等について積極的な取り組みが始まることが想定される。
ここで改めて、駒澤大学等の「事件」は、私立大学であれ国立大学であれ、決して他山の石として見逃すことのできない「大きな衝撃」であることを、大学関係者は真摯に受けとめるべきであろう。
大学経営のあるべき姿を追究している筆者としては、今回の事態を踏まえ、大きく2つの視点から、自学の財務戦略のあり方について精査を行うべきであることを提言したい。

昨年度の世界的な金融危機に端を発した、大学における資産運用の問題。様々なメディアがこの話題を取り上げました。
その中にも色々な提言がありましたが、このコラムは次のように結んでいます。

同時に一連の事件で浮き彫りとなったのは、主に財務担当課の運用担当者任せにしている学校法人の業務実態である。一般的な学校法人組織においては「経理はできるがファイナンスは分からない」という職員が多い。銀行等からの人材を招聘するケースも少なからずあるが、こうした人材は金銭の扱いについては慣熟しているものの高度な金融工学の知識を有した「専門家」では必ずしもない。したがって財務担当課職員にあっては基本的な金融商品に関する知見は持つべきであり、かつての「特金」や「飛ばし」のように、委託側が証券会社に丸投げをして損失を被った苦い社会的経験を想起すれば、このことが意味のある取り組みであることはいうまでもないだろう。
しかしながら、それだけではなく組織的なガバナンスの問題も見逃せない。資産運用の実務上の責任単位である財務担当課を統制するのは、やはり理事長や財務担当理事である。そしてトップマネジメントのもとに、学内のみでなく学外の専門家を加え、また監事など第三者の眼によるチェック機能と合わせつつ、ありがちな責任分散を防ぐための委員会形式等による統一的な意思決定の仕組みが必要となる。
今日の事態に対して殊更に怯える必要もないが、一方で慎重に取り組んでいく眼も持ち、貴重な資産を適切に運用するための組織的なあり方を確保していくことが必須となるのである。

指摘の通り、今の日本の大学には資産運用のプロと呼べるだけの職員は恐らくいないと思われます。ここで「プロ」と呼ばれる人材はコラムでも指摘されているような金融工学の専門家や投資銀行業務を長年経験してきた熟達のスペシャリティを持った人材です。こうした職能を持った人材は、専門職という位置づけがない学校法人という組織では育成しにくいものと思われます。
つまり、「専門的スキルを持った外部人材を積極的に活用し、トップマネジメントがファイナンシャルリテラシーを身に付けて初めて戦略的な資産運用が行える」のではないかと私は思います。こうした人事戦略を採用できるのは一部の学校だけかも知れませんが、安定的な収入確保が今後ますます難しくなることを考えると、各大学が真剣に考えていかなければならない点であることは間違いありません。

このように、大学にまつわる有用なニュースソースは既存のメディアだけではなく、色々なところに存在しています。ただ、Google検索をするのではなく、ブックマーク検索も使いながら色々な視点で見た有用な情報を得ていきたいものです。

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