Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省が研究支援人材の確保のために、300億円を補正予算に盛り込む方針

high190です。

大学の研究者は研究・教育・学内業務(委員会など)で結構忙殺されています。うちの大学でも若手の先生から「研究がしたいなぁ・・・」というつぶやきを聞くことがあります。教員は本来的には教育研究をメインで行うんですが、実際には研究に専念できないことの方が多いのが実情です。
文部科学省では研究者が教育研究に専念できるよう、研究支援者の人材確保を今年度の補正予算案に組み込む方針だそうです。

文部科学省は、大学の研究者が研究や教育に専念できるよう実験や事務作業などを支援する人材を確保しようと、今年度補正予算案に300億円を盛り込む方針を決めた。日本の研究者1人あたりの研究支援者数は欧州の3分の1程度で、研究者自ら実験設備の管理をしたり、研究費の申請書作りに追われている。今年度から少なくとも2年間、約2500人を全国に配置し、支援体制を強化する。
計画では、有力な研究プロジェクトに取り組む国公私立大の中から約50大学を選び、1大学あたり約50人の研究支援者を配置する。研究から離れている博士号や修士号取得者、知的財産権に詳しい人、語学が堪能な人などの活用を目指す。
研究支援者の役割は、実験機器の保守・管理▽研究費の申請や管理▽知的財産権の事務処理▽ホームページ作成などの広報活動▽シンポジウムの企画・運営−−など。現在は研究者が自分で処理しているため、「書類作りのため研究が進まない」「教育にかける時間がない」などの弊害が出ていた。
総務省の調査では、日本の研究者1人あたりの研究支援者数は平均0・27人。特に大学では0・18人にとどまる。これに対し、イギリスが0・82人、ドイツが0・74人、フランスは0・72人と充実している。米国には、研究資金管理や法令順守に携わる研究支援者の資格制度があり約15万人が資格を持つ。文部科学省は「研究費や設備の充実は進んできたが、人材の支援策がなかった」としている。

研究者が本来の目的を達成できる環境作りも大学職員の大事な仕事のひとつです。教員と職員の中間に位置するような研究支援者の存在は、これまでも日本には足りない部分であるとの指摘もあったと思います。
今回の制度は上記の問題点を解決するものとして期待されますが、問題は有意な人材をいかにして確保するのか?ということです。具体的にはポストドクトラルフェローなどの制度を活用するということでしょうか?知的財産権の事務処理にあたっては、弁理士資格保有者を活用するなどの方法が考えられますが、一般の事務職員と同等に扱ってよいのかなどの問題も出てくると思います。予算措置を行うことももちろんですが、文部科学省には人材交流の目途を付けるための施策も同時に進めていただきたいところですね。

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