Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文系学部がどんどん増えていく現状

high190です。
理系、特に「工業」という名の付く大学が相次いで名称変更を行っているという記事がありました。


「物づくり」の分野に数多くの人材を輩出してきた私立の工業大学や工科大学が変身しつつある。大学名から「工業」を外したり、文系の学部を新設したり、さらにはキャンパスをオシャレにしたり。「工学離れ」と「単科大学離れ」の中で、学生確保に懸命な姿がうかがえる。

何で高校生から「工業」という名称が敬遠されるのか?ここでちょっと仮説を立ててみたいと思います。

  1. 肉体労働っぽいイメージ
  2. 古い仕事っぽいイメージ
  3. 男性的なイメージ
  4. かっこ悪いイメージ

とまあ、本当に簡単にですが4つほど高校生が「工業」に対して抱きそうなイメージを挙げてみました。
私が勝手に思ったことですが、いくつか例を挙げてみると、高校生(もしくは保護者)の頭の中にある「工業」のイメージを転換させられればいいんじゃないかと思うんです。

実際に、

名古屋市南区にある大同工業大。来年度から大学名を大同大に改称する。
志願者数は減少が続いていたが、ここ3年は受験生の首都圏志向が強まってさらに減った。実質倍率は1・1〜1・2倍まで低下。澤岡昭学長は「このままでは定員が確保できず、経営が成り立たなくなりかねない。文系の受験生も入れるような分野にも展開することにした」と説明する。
今年度はプロダクトデザイン専攻を開設、来年度は香りや不動産マネジメントに関する専攻も新設する予定だ。さらなる決断が、「文系受験生は『工業』という看板では来ない」として大学名から外すことだった。将来はデザイン系学部を新設するなどして定員の3分の1程度は新分野で確保したいという。澤岡学長は「受験生は単科大学はダサいと思っている。総合大学に近づけることでイメージチェンジを図りたい」。
効果はどうか。
プロダクトデザイン専攻の新入生の約半分は文系出身。特に女子比率は2割で、大学全体の3%を大きく上回った。今夏のオープンキャンパスの参加者も女子が3割以上増加。同専攻1年の喜多川香里さんは「女子は大学名に『工業』が入っているだけで選択肢から外してしまうことがあるので、改称は効果が大きいと思う」と話す。

大学名とか、専攻名を変えただけでも効果があったみたいですしね。
ただ、工業系の大学関係者の方は「うちの歴史ある校名を変更してしまうのも・・・」と思う方も居るでしょうし名称変更はなかなか勇気のいる決断だと思います。それが難しいのであれば、施設を整備して学生を呼び込むという手段もあります。

神奈川工科大学の場合、

キャンパスを再開発してオシャレな施設を次々と建設しているのが神奈川工科大(厚木市)だ。河野隆二理事は「今は見栄えする施設に反応する学生も多い」と言う。
学生会館の3階は女子専用フロアに。1人1個のロッカーやシャワールーム、パウダールームを完備し、卒業研究で遅くなった学生のために仮眠室も設けた。今春オープンした物作り施設はガラス張り。2千平方メートルのスペースに315本の柱があって、森の中にいるようだ。
このほか、06〜08年にかけて、情報学部棟、自動車工学棟、学生サービス棟などが次々と完成。来年、公園がオープンして施設の大半が一新される。
同大によると、ここ数年7〜8%ずつ減っていた志願者が今春3%増に転じた。さらに合格した学生にキャンパス案内を実施したところ、参加した約100人のほとんどが入学。河野理事は「再開発の効果はかなりあったのではないか」と話した。
情報学部4年の植村勇介さんは合格発表の翌日、情報学部棟ができることを知ったのが入学理由の一つだ。大学院工学研究科1年の長岡亜矢子さんは「学生会館に女子専用フロアがあることが入学の決め手になった」と話す。

やはり施設整備によって大きな効果があった模様。女子学生に気に入られるかどうかも重要な指標のひとつです。

このように工業系大学は生き残りをかけて自らの形態を変えながら大学改革を行っています。既存の文系大学も早く手を打たないと工業系から文系に転換してくる大学との競争に敗れてしまう可能性がありますので、工業系大学の動向を注視しておいた方がよさそうですね。

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