Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

学長不在の大学、文部科学省が行政指導へ

high190です。
一般論ですが、大学の管理・監督の最終責任を負うのは「学長」です。学長になることができる人物に関しては、大学設置基準第13条の2にも学長の資格として明記されています。

学長となることのできる者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学運営に関し識見を有すると認められる者とする。

では、学長を選任するのは誰かというと、私立大学の場合、教授会による推薦を経て理事会が最終的に決定します。このような意思決定プロセスを経て学長が選任されるんですが、2年間に渡り学長が決まらないという異常事態が発生している大学があり、文部科学省が口頭で行政指導を行いました。

東京医科大(東京都新宿区)が2年間、学長を置かず、学校教育法に違反しているとして、文部科学省が口頭で行政指導していたことが分かった。指導は29日付。文科省は「長期にわたって最高責任者がいない状態は不適切」と判断。大学側は「早急に正式な学長を選任したい」と話している。
学校教育法は「大学には学長を置かなければならない」と定めているが、伊東洋理事長が06年8月末に学長を任期満了で退任して以来、不在が続いており、当時の副学長が職務代理をしている。
文科省によると、大学側は「教授会で推薦が決まらなかったり、理事会で推薦通りに決まらないなどの事態が続いている」などと説明している。

確かに東京医科大学のwebサイトには学長が誰であるのか、という記載がなく、学長職務代理という表記になっています。
個人的な疑問なんですが、対外的な文書などの差出名なんかも学長職務代理で事務処理を行っているということなんでしょうか。また、オープンキャンパスでは必ず学長の挨拶があると思いますが、そういった時にどう自己紹介するんでしょう?

学長の職責は重い分、こういった事態が発生しているのだと思いますが、適切な管理運営には学長が不可欠ですので、早期に是正されることが求められます。今回、文部科学省からは口頭による行政指導があったとありますが、指導内容を受けて緊急の教授会開催が必要になるんじゃないでしょうか。

いずれにせよ、早く適切な運営体制に戻るといいですね。

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