Clear Consideration(大学職員の教育分析)

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日本学生支援機構の奨学金受給者の延滞率が高い学校を公表へ

high190です。
日本学生支援機構が貸与している奨学金があるんですが、受給者の延滞率が高い学校を公表することになったそうです。

奨学金の貸与事業を行う独立行政法人の「日本学生支援機構」は10日、奨学金の返済が滞っている卒業生の割合が高い大学などの学校名を公表する方針を決めた。
近く、公表の基準などの検討に着手する。2007年度に奨学金の返済を延滞した卒業生の割合が20%以上の大学は7校を数え、中には30%を超える学校もあり、学校も奨学金の返還を学生に促す責任があると判断した。
今回の方針は同機構が設置した「奨学金の返還促進に関する有識者会議」(座長・市古夏生お茶の水女子大教授)の報告を受けての措置。これまで、同機構はすべての大学や短大などに、各校の奨学金を返還する義務のある卒業生のうち延滞している卒業生の割合を示す延滞率を文書で通知したほか、延滞率の高い大学などに同機構の職員を派遣して直接指導してきた。だが、3か月以上の延滞金は99年度末の1009億円から、07年度末には2253億円と2倍以上に増加するなど、毎年度、過去最高を更新し続けている。
これらの経緯を踏まえ、報告書は「学校の教員や奨学金の担当者に返還の意識を持ってもらうことが重要」と学校側の責任を指摘。その上で、「大学など学校の指導のあり方が延滞率に影響を与えていることを考慮し、延滞率が高く、改善が進まない学校名を公表することを検討する」として、同機構に学校名の公表を求めた。
また、06年度の延滞者に対する調査で、ほかの借金返済を延滞の理由とした延滞者が約25%に上った。有識者会議は、延滞者の多重債務化を防止するため、顧客の債務情報を管理する信用情報機関に延滞情報を提供することも求めており、同機構は実施する方針だ。

正直な感想として、延滞率が高い学校を公表することが延滞率の歯止めにはならないと思います。おまけに日本学生支援機構奨学金には1種と2種があって、その違いは利子の有無です。つまりは奨学金ではなく教育ローンなのであり、延滞率が高いのはある意味で「奨学金」という名前自体が利用者の勘違いを生んだ副産物的なものであると思うのです。

辛辣な言い方をすると、奨学金という名称を使っていながら奨学金ではないので、延滞率が下がらないのもやむを得ないんじゃないかと思うんですけどね。思い切って名称を変更してもいいんじゃないでしょうか。

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