Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

東京理科大学に地方自治体が閉校校舎を無償貸与

high190です。
独自の厚生施設を所有している大学はたくさんあると思いますが、学生の利用率はいかがでしょうか。ちなみに私の勤める大学では夏季休暇期間中にゼミナールやクラブなどが活用することがほとんどです。(一応、在学生の家族や卒業生も使えることになっているんですが、大学としてそこまで積極的に明示していないのです。理由が定かではありませんが、恐らく事務手続き上の問題では…)
利用した学生に話を聞いてみますと、学外施設で活動することで学生同士の交流が深まるようですね。概ねもう一度利用したいという声でした。このように学生のコミュニケーション能力を向上させることにも学外施設が一役買っている部分もあるようです。

ところで最近では少子化による公立学校の統合話を色々なところで耳にします。そういった意味では、自治体側からすると施設の有効活用の方法を模索しているところであると言えましょう。

茨城県大子町では、県から閉校になった高校の跡地を買い取り、東京理科大学に対して無償貸与することにしたそうです。建物の内装工事などは東京理科大学が負担して行うそうで、双方にとってメリットのある提携です。

大子町は、閉校した旧大子二高(同町北田気)の跡地を県から買い取り、東京理科大(東京都新宿区)に無償貸与することを決めた。理科大側は学生研修施設として活用する方針で、町は「若い学生が来れば街が活気づく」と歓迎している。
大子一高と統合し、大子清流高校となった後、大子二高は2006年3月に閉校した。敷地総面積5万7780平方メートルで、3階建ての鉄筋コンクリートの本館、特別教室棟や体育館、プールなどがある。
町と理科大によると、学生向けの各種研修や長期休暇中のゼミ、部活動の合宿、町の小中学生に向けた科学教室などとして利用する予定だ。特別教室棟の化学室、音楽室、グラウンドやテニスコートはそのまま利用し、本館は今後、約180人が宿泊できる施設に改装するという。
昨年8月、理科大の理事長ら関係者が町を訪れて、大子二高跡地や観光施設などを視察。その後も協議を重ね、14日の大学理事会で正式決定した。理科大側は「都心からさほど離れておらず、久慈川袋田の滝など自然が豊か。町の受け入れ態勢も良かった」と話している。
町は、大学の知的資源を生かしながら、町の小・中高校生との交流事業や出前講座などを行うことを貸し付けの条件にしている。綿引久男町長は「大学の施設があるということで、教育にも波及効果が見込まれ、イメージアップにもつながる。経済的効果も大きい」と期待する。理科大側が建物の内装工事などを行い、早ければ来春ごろからの利用を予定している。
東京理科大は、理学部、工学部、薬学部など8学部33学科があり、学生数は大学院も含めて約2万人。野田(千葉県)、久喜(埼玉県)、長万部(おしゃまんべ)(北海道)にもキャンパスがある。

大子町では小中高生との交流事業・出前講座を貸付の条件にしているようですので、東京理科大学が持つ知的資産を町の活性化に活かしていきたいのところでしょう。東京理科大学側からも、学生の研修施設として用いるばかりではなく、出前講座などに学生を参加させることで教育の一環として取り組んでいくことも可能になります。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ