Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

コマーシャルをデータベース化して脳の反応や大衆文化を研究

high190です。
CMって切り替わりがとても早いですが、その中でも印象に残っているものがたくさんあると思います。YoutTubeなんかにCMの映像が多く投稿されていることもそうしたことに関係しているのかも知れません。
新しく設立されたサイエンス映像学会では、テレビCMのデータベースを構築して研究に役立てていくそうです。テレビCMの価値を再認識することにもなりそうですね。

テレビCMのデータベース(DB)を構築し、研究に利用する動きが進んでいる。DBを作りやすくなったことと、ウェブなどの新しい広告が増える中、歴史を持つテレビCMを文化として再評価しようという関係者らの思いが背景にある。戦後の大衆文化を探る貴重な資料になる。
流れては消えていくCMを録画し保存するのは手間のかかる作業だ。まして古いCMを系統立てて見るのは至難の業。著作権や肖像権など権利が入り組んでいることもあって、文化としてのCMの研究はあまり進まなかった。
それが最近、研究に役立てたいという大学など公的機関の求めにこたえて、制作会社や業界団体からCMのフィルムなどが貸与されたり寄贈されたりするケースが増えている。
6日に東京で設立される「サイエンス映像学会」(養老孟司会長)は、サントリーウイスキーやウーロン茶、ホンダの乗用車などを扱ったヒット作があるCM制作会社「21インコーポレーション」(東京都中央区)に協力を要請、同社のCM約4千点の映像素材をもとに研究することになった。
同学会ではCMのDB構築とともに、脳科学者や社会学者ら異分野の研究者を募り、映像の分析を進める。
学会の評議会議長で、日大大学院の林成之教授は「CMの映像や音に脳がどう反応するのか、商品を記憶したり購買に結びついたりするのかを解明したい。社会学の分野からもCMが社会や時代に与えた影響を分析するなど、専門部会で学際的な取り組みをしたい」と意欲を示す。
同社は1964年に創業した老舗(しにせ)の制作会社のひとつだ。砂山純子会長は「流行や表現技術など、CMは時代の最先端を走ってきた。研究に役立てていただき、社員やCM制作に携わる者が、これだけ文化に貢献しているという誇りを持てるようにしたい」と話す。
CMの著作権は、広告主と制作会社、広告会社の3者が持ち合い、さらにそこに音楽著作権や出演者の肖像権などが入り込むため、2次使用が簡単にできない仕組みになっている。この状況の中で、業界団体の全日本シーエム放送連盟(ACC)が、研究目的での協力をすることになった。
国際日本文化研究センター京都市)は、同連盟の協力で、ACC賞受賞作約4千点を収めたDBを02年に作った。翌年にはCM共同研究会を立ち上げ「日本の外タレCMの質的変化」「車への『まなざし』の変遷」などの研究をし、07年に「文化としてのテレビ・コマーシャル」を出版した。
たとえば「外タレCM」の研究では、化粧品の宣伝をしたチャールズ・ブロンソンや洋酒のオーソン・ウェルズなど、映画界の大スターを起用したCMを対象にアンケートを実施。外国の俳優が商品のセールスをするという日本で独自に発展したCM文化について分析している。
京都精華大はCM制作会社「TCJ」(東京都千代田区)から貸与された54年から68年にかけてのCM約9千点を中心としたDBを07年に作った。アニメ系の充実を特徴としている。立命館大京都市)は、廃業した大阪の制作会社から寄贈された約3千点をもとにDBを構築中だ。
一般に公開されているものもある。川崎市市民ミュージアムは、慶応大と共同で食品メーカー桃屋のアニメーションCM117点を編んだDBを構築した。このDBは広告主が1社で声の出演者も1人、音楽もオリジナルであったことから権利関係の処理が簡単だった。07年からはインターネットで閲覧(www.volumeone.jp/index.php)できるようになった。
ミュージアムの浜崎好治学芸員は「制作会社や広告主らの協力で研究の流れができてきた。CMの分野はまだまだ手つかずの状態で、研究者にとっては宝庫だ。一般の人も見られるCMデータベースがさらに増えることが望まれる」と話している。

昔見た面白いCM、印象に残っているものなど、メディアから私たちが受ける影響というものはとても大きなものです。データベース化することで、時代を超えてなお親しまれるものの価値を計ることなんかもできそうですよね。同じ商品のCMがどんな変遷を辿ってきたのかを調べたり、なかなか楽しい使い方がありそうです。

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