Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

早稲田大学高等学院が中高一貫校に

high190です。
早稲田大学は付属校の早稲田大学高等学院に中学校を併設し、中高一貫化することを発表しました。少子化に加えて大学間競争が激化することを見越し、早期に優秀な学生を確保するためのものです。ここ数年、上位私立大学が中高一貫校を設置するケースが増えていますが、中学入試の激化に一層の拍車を掛けることからその効果については、賛否両論ありそうです。

早稲田大学は21日、付属高校である早稲田大学高等学院(東京・練馬)に中学校を併設し、中高一貫校にすると発表した。中学校は2010年4月に開校する予定。中学校の定員は1学年120人で、30人学級とする。中学、高等学院とも男子校。
早大では一定程度の卒業生を受け入れる系列校が拡大しているが、いわば“直営校”である高等学院でも中学校を設立することで、義務教育段階でも「早稲田ブランド」を広げる狙いがありそうだ。
中学校の校舎は現在の高等学院の敷地内に新設し、高等学院の既存校舎も中高で共同利用する計画。授業料などは今後詰める。
高等学院は一定の基準を満たせば原則全員が早大に進学できる仕組みだが、中学からの進学者も同じ扱いになる見通しだ。

大学側としては、優秀な入学者を早期に確保して付属校で教育すればその後の学生数などの予測が可能になります。中高大を接続することは長いスパンでの教育プログラムが立てられるというメリットもありますが、最も重要なのは経営戦略的な先読みと囲い込みができることにあります。
中学に入学した時点で大学への進学がほぼ確定しているならば、当然、入学時には早稲田大学に進学したい受験生が集まります。その時点で、付属校を持つ他大学との競争が起こる訳です。しかし、付属校からの大学進学者を増やす場合には質の確保という点で難しい面があります。一般受験で入学してくる学生との学力差がないようにしなければいけないのですが、そのためには卒業に関する基準を厳格化するなどして対応している学校も既にあることから(慶應義塾の場合、付属校での留年率が高いと聞いたことがあります。つまり、一定基準に満たなければ卒業させないということです)そのあたりの対応を今後、どのように行っていくかが鍵になりそうです。

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