Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

東京大学の経済力

high190です。
日本の最高学府である東京大学は、ここ最近、国際的な評価を高めるための取り組みを行ってきました。

「世界の東大」へ変身計画 外国人スタッフ1300人に(2007/02/26)
東大130年、世界戦略 「最強学府」改革急ぐ(2007/04/19)

その他にも企業の寄附講座設置など、外部資金の獲得にも非常に積極的になっています。世界トップクラスの大学と方を並べるには、研究力もさることながら、それを支えるための財務力が非常に重要です。よく引き合いに出されるのはハーバード大学を始めとするアイヴィーリーグ大学の基金ですが、その運用益は莫大なものがあります。このように世界の大学の潮流を考えると、財務的な安定がそのまま大学の競争力に繋がることは自明です。
東京大学の国際競争力を高めるために、日本の代表的な企業も援助を行っていくようです。

東京大学の国際競争力を高めるため、トヨタ自動車三菱東京UFJ銀行、東京電力など15社が120億円を拠出し基金をつくることが23日、明らかになった。毎年の運用益の一部を東大に寄付、東大は留学生向け奨学金の充実などに活用する。国内の大学で初の試みで、日本の大学の国際競争力低下に対する危機感を背景に、経済界が資金面で人材育成の支援に乗り出した格好だ。
東大によると、基金の名称は「東京大学信託基金」。15社が5億―15億円を拠出、三菱UFJ信託銀行に運用を委託し、26日から運用を始める。期待運用利回りは年3.5%に設定、国内債券中心に運用し、各社が得た収益の一部を毎年、東大に寄付する。「おおむね長期金利を上回る分が寄付される見通し」(東大)といい、運用成績が期待通りなら毎年、2億5000万円程度が東大の寄付収入になる。

毎年、決まった金額が入ってくるのは財務的にもメリットが非常に大きいです。また、優秀な留学生を確保するためには絶対的に奨学金の充実化が必要ですので、その原資としてこうした基金が生まれるのは、産業界がそれほど日本の国際競争力に懸念を示していることの現われだと思います。

その他にも大学院生向けに研究支援を行うなど、東京大学の経済力は高まるばかりです。

東京大学は、博士課程に在籍する大学院生への経済支援策を発表した。
研究遂行協力費として、年30万円を2000人に支給することが柱。授業料(年52万800円)の半額免除も1000人に拡大する。新年度から実施する。
従来の制度と合わせ、約6000人いる在籍者の9割が授業料の半額程度の支援を受けられるようになる。大学独自の経済支援策としては、国内最大規模という。
新施策に必要な年8億4000万円の費用は、積み立てた寄付金の運用益や経営の効率化などでまかなう。
東大は当初、年間授業料を実質無料化する大規模な経済支援も検討していたが、財源確保が難しいうえに、他大学も参考にできる内容にしたいとの配慮から、今回の支援策を決めた。

この制度によって、博士課程に在籍する2,000人の学生が研究支援として年30万円を支給されます。博士課程に在籍する学生でも、学費を自分で稼いだりしている人も多いでしょうから、年間30万円というのは大きいでしょうね。しかし、それだけの経済力を持つことができるのも東京大学ならではの部分が大きいと思います。他の大学はおいそれとこうした施策を実行できる財力を持たないでしょうしね。敵は世界、と国内で孤高の存在になりつつある東京大学。文字通り国内最高の大学として世界の頂点を目指して疾走しています。

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