Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

学生向けのゼロ円ビジネス、広がる

high190です。
このブログでも何回かお知らせしてきましたが、最近学生向けの無料サービス(コピー・ルーズリーフ)が非常に盛んになってきています。

タダコピ、広がる(2007/10/18)
タダコピに続く学生向け無料ノート(2007/12/25)

そのほとんどが学生向けの広告を掲載することで、学生が無料でサービスを受けられるようになっているビジネスモデルです。ということは、もちろん広告を掲載するクライアントにとっては広告効果が期待できるからこそ、広告掲載を依頼する訳ですよね。実際のところ、費用対効果はどんなものなんでしょうか。

俗に「タダほどこわいものはない」と言いますが、原材料費高騰にともなう生活物資の値上げが相次ぐ中、無料でモノがもらえたり、サービスを利用できたりする「ゼロ円ビジネス」は消費者にとってありがたい存在です。そうした中、広がっているのが、用紙の裏を広告にすることで学生が無料でコピーできる「タダコピ」など、大学を舞台にしたビジネス。学生はアルバイトや親の仕送りで生活しているだけに、“財布にやさしい”ビジネスをなおさらありがたく感じているようです。(井田通人)


≪「エコフル」無料配布≫
「各大学あたり50〜200部を配布しているが、どこも昼前にはなくなる」
案内表示板やカメラ部品の販売を手がける全立(東京都三鷹市)の斉藤栄作営業部統括マネージャーは、反響の良さに胸をなで下ろす。
全立は、昨年10月から大学で穴あき式ノートのルーズリーフを無料配布するサービス「エコフル」を始めた。無料なのは、ルーズリーフの下の部分に広告がついているためだ。
ルーズリーフはB5サイズ16枚入りで環境にやさしい「大豆インク」を使っている。広告は縦3・3×横16・7センチ。実用のじゃまにならない大きさにした。
大学の購買部前に置かれた専用ラックにセットして配布している。もらえるのは1日1冊に限定。表紙に購買部の広告を掲載する代わりに、日に1度の補充を委託しているほか、学生が一度にたくさん持っていかないように見張ってもらっている。
現在、1万6000部を7大学で配布中。4月には慶応大学三田キャンパス、成蹊大学国際基督教大学三鷹キャンパスにも置かれる予定だ。


≪先輩格に「タダコピ」≫
一方、大学におけるゼロ円ビジネスの先輩格には、06年4月に始まったオーシャナイズ(同渋谷区)の「タダコピ」がある。コピー用紙の裏面を広告にすることで、コピー代をタダにした。
コピー機の設置大学は、開始当初の2大学(2台)から、1年後には25大学(45台)、今年2月には40大学(64台)まで増えた。オーシャナイズの売上高は、07年3月期の7200万円が今期は一気に2億8500万円まで拡大する見通しだ。
タダコピが一過性の人気にとどまっていない背景には、広告の掲載効果が把握されてきたことがある。
永谷園は、ショウガを使ったカップスープ「『冷え知らず』さんの生姜シリーズ」の広告を、タダコピに掲載している。そのほかの広告宣伝は、大学でのキャンペーンイベントと専用ウェブサイト上でしか基本的に行っていない。タダコピの広告はサイトに誘導する上でも役立っている。
同社は、「商品は人気。商品に同梱しているアンケートはがきに『タダコピ』を見て買ったと書かれていることもけっこうある」と“タダコピ効果”を認める。
「『冷え知らず』…」のターゲットは、健康志向の高い若い女性。タダコピは、まとまった数の若い女性に商品の魅力を効率的に訴えられる、絶好の広告媒体になっている。
全立の斉藤統括マネージャーは、学生に的を絞ったことだけでなく、学生への訴求力や利用頻度が高いルーズリーフを無料配布の対象にしたことで、効果を高められるとみている。「バインダーにとじるルーズリーフは長い間使用してもらえる。友人とやりとりして、(広告を見る人が)広がる可能性も高い」とメリットを訴える。


≪双方のニーズつかめ≫
エコフルの広告掲載料は、1万6000部で40万円。すでに就職支援会社など、学生を有力顧客に抱える企業を中心に15社程度が広告を掲載している。
全立ではタダコピに影響されたのではなく、案内表示板の営業で大学に販路を持っていることがきっかけで、エコフルの事業可能性を見いだしたという。斉藤統括マネージャーは、ゼロ円ビジネスが相次いだ背景について、「リクルートのフリーペーパー『ホットペッパー』などが人気になり、消費者が無料に慣れたこともあるのでは」と推測する。
たとえ無料であっても、学生にとって魅力があるモノで、実質的に料金を負担するクライアント企業が得をしなければ、サービスは成り立たない。双方のニーズをつかむことが、成功への必要条件といえそうだ。

無料コピーを学生に提供するタダコピ。運営するオーシャナイズは前年度の約4倍ほどまで利益を拡大しているそうです。今は導入段階で新しいサービスであるという目新しさも成長に一役買っているでしょう。今後サービスを拡大し、かつ競合相手が市場に参入してきた場合、いかに学生と企業のニーズをマッチングさせられるかが勝負になりそうですね。
それにしても、最近は学生向けの無料サービスが本当に充実してきていると思います。フリーメールサービスでも、Gmail・Yahooメール・Windows@eduなど様々なサービスがしのぎを削る状況になっていますし、色々な取り組みが増えてきています。大学側もこうした動向をいち早く汲み取り、新しいサービスを柔軟に組み入れていけるような体制作りが必要ですね。それもAdaptive Universityの取り組みのひとつになると私は考えます。

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