Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

街を元気に。千葉大学の学生団体Dropsの取り組み

high190です。
今日は東京でも雪が降りました。学生たちは寒そうでしたが友人たちが揃うと寒いのも忘れてしまうような元気さを感じさせてくれました。学生たちの元気な姿を見ているとこちらまで元気付けられてしまいます。学生たちの持っている力は案外、そんなところにあるのかも知れませんね。そして、そういった学生たちの一面を組織化して地域に役立てられれば、大学にとって大きな地域貢献になります。
千葉大学の学生団体「Drops」は、大学で学んだ知識や経験を活かして千葉市稲毛区を元気にする!そんな活動を行っている団体です。

千葉市稲毛区の公園や通り沿いが昨年11月、約3000個の灯籠(とうろう)、約1000本の風車で飾られた。千葉大学の学生が中心のまちづくりグループ「Drops」のメンバーが、漁業の町だった稲毛地区の魅力を伝えようと地元の商店街や自治会と開いた祭り「夜灯(よとぼし)」だ。
祭りの名は、新月の夜にカンテラを下げて出る「夜とぼし」漁にちなむ。
祭りに先立ち、同区の小学校や公民館で手作り教室を開催。参加者に風車を作ってもらったり、海をテーマに灯籠の絵を描いたりしてもらった。
Dropsは、大学で学んだ知識や経験を生かしてまちを元気にしようと、05年4月に結成された。メンバーは現在18人。京成稲毛駅前に事務所を置く。「稲毛の人が気軽に立ち寄れるように」と、事務所で展覧会やライブも開く。グループ代表を務める大野紘平さん(24)は「現場を見られるのが魅力」と話す。
「いなげでいちばんの笑顔展」と題して子どもの絵を展示したり、地元の史跡や店を紹介する地図を作製したりしている。また、東京・谷中銀座商店街の55店舗の看板デザインを手がけるなど、活動の場は広がりつつある。

漁業の街だった稲毛地区の魅力を発掘し、地域住民の方々と一緒に作り上げたのが「夜灯」なんですね。この名前も元々の漁業に関係する言葉であるということからも、綿密に地域のことを調べて作り上げていったイベントなんでしょうね。

DropsのWebサイトを見ていて、私には作品紹介のページがとても気になりました。これまで実施してきたプロジェクトの成果が見られるようになっているんですが、これは学生ではなくプロの仕事に近いものがあると思います。製作物の完成度も非常に高いですし、デザイン的にも見やすくてきれいなものが多いです。まさしく、「大学で学んだ知識や経験を活かして千葉市稲毛区を元気にする!」を体現しています。
私にはDropsがこれだけのものを作り出せる理由に、ビジョン設定の正確さがあると思います。大学で学んだ知識や経験というものを、自分たちの身近な場所に応用してよりよい社会作りに貢献するというビジョンはとても分かりやすいですし、そのために必要なことはそれぞれのメンバーが持つ力を融合させていければいい訳ですよね。
ある意味、大学は就職してからよりも色々な個性を持った人が集まる傾向があるような気がします。就職の場合、入社時に企業側が採用したい人材像に沿って採用活動を行いますので、どこかしら同質的な人々の集まりになるような気がします。*1大学というある種変わった組織体の中で、学習の成果を共有し、それぞれが個性を発揮して活動できる場を作ることはなかなか難しいと思います。千葉大学Dropsはそれを見事に体現していると私は思います。
千葉大学Dropsの皆さん、これからも頑張って下さい!

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*1:より詳細で論理的な説明があります。東大生による就職活動論 http://d.hatena.ne.jp/yo4ma3/20080118/1200690662