Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

福田首相が教育再生会議の後継組織の設置を検討

high190です。
安倍前総理の決定によって設置された「教育再生会議」。ゆとり教育の見直しを初めとする、日本の教育再生を目的に基本にまで立ち返った改革を推進するための組織として設置されました。福田首相が就任してからも会議は継続して存続していたのですが、さらに構想を具体化させることを目的として新しい組織を立ち上げるようです。ただ、これまでの会議を踏襲しつつ、より改革を推進できる組織にするとのこと。

福田康夫首相は31日、官邸主導で教育改革を加速するための新組織を首相官邸に設置する方向で検討に入った。安倍晋三前首相が立ち上げた教育再生会議野依良治座長)を引き継ぎ、同会議が打ち出した改革案を推進する母体とする。国民の関心の高い教育問題に福田政権としても重点的に取り組む体制を整える狙いだ。
新組織は教育再生会議が1月に最終報告をまとめるのを受け、「教育再生推進委員会」(仮称)として設置する案が有力。再生会議が打ち出した大学の9月入学の促進や社会人教員の大量採用、小学校から大学までの「6.3.3.4制」の弾力化といった改革案の具体化を検討。実現に道筋を付ける役割を担う。

改革案の具体化、という点でどうしても気になるのが中央教育審議会とのすりあわせです。中央教育審議会文部科学大臣の諮問機関ですが、教育再生会議との意見調整ができていないようなところがいくつか見受けられました。ただ、両者の性質の違いはWebサイトを見ることで分かります。

教育再生会議は国民に対して「開かれたイメージ」であるのに対して、中央教育審議会の方は実務的な内容が掲載されており、内容を分からない人には分かりにくい構成になっていると思います。より教育改革を国民に近い形で訴えていきたいというのが教育再生会議のイメージなんですね。確かにこれまで教育の議論というのは、高名な学者が密室で議論して国民にはよく内容が分からないままに政策が決まっていたようか感じがします。教育は国民一人ひとりにとって重大な関心事であり、かつ将来の国家力に大きな影響があることから、安倍前首相はより教育に深い関心を持ってもらいたかったんでしょうね。福田首相は改革案を具体化するために新組織を設置するようですから、国民に対して積極的な情報発信をしていただきたいなと思います。また、一人ひとりが教育について考えられるような問いを投げかけていただきたいですね。

わたしたちの教育再生会議―現場からの批判と提言

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