Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

株式会社立大学は日本で成功するのか

high190です。
今日のテーマである「株式会社立大学」は、元々アメリカで成功を収めていたものだということはご存知でしょうか。ちなみにeラーニングで有名なフェニックス大学は株式会社立大学だったりします。米国の場合、日本の文部科学省のような中央教育行政組織がないため、株式会社の方が収益性という部分で優れているため、より効果的な教育を実践できたのかも知れませんね。

構造改革特区で特例措置として認められている株式会社設立の大学について、文部科学省は7日までに、多くの大学で定員を割り赤字となっているなどとして「全国展開の可能性を検証する段階に至っていない」との報告書を政府の評価・調査委員会に提出した。
委員会は報告などを踏まえ全国展開の可否を審議するが、来年度も全国解禁が見送られる可能性が高い。
株式会社立大・大学院は現在、LEC東京リーガルマインド大(東京)やサイバー大(福岡市)など7校。うち1校は来年度から学校法人に移行する。
文科省は10―11月、大学を設置する会社や教員、学生、所在地の自治体などに学校経営や教育研究の内容などを調査。多くの大学で大幅な定員割れが生じ、収支も赤字になっていることが判明したほか、設置会社の株式を特定の株主や会社が保有しているケースがあり、経営が影響を受けやすいとの指摘もあった。
また、図書室や教員専用研究室など施設整備が不十分な大学があるほか、目立った研究成果も出ていないとした。

[過去記事]
特区で認可の株式会社大、私大にくら替えへ…税制優遇なく(2007/05/15)

過去記事でも紹介しましたが、日本における株式会社立大学の経営は厳しいようです。これは大学設置基準によって設備・カリキュラムなどについて、文部科学省が細かく規定しているため、自由な運営ができないということもあるでしょうね。日本の私立学校の成り立ちを調べると、資産家や篤志家が学校を設立しているケースが多く見受けられるため、経営的にどうこうというよりも事前の保有資産がどの程度であるかが学校設置に関して非常に重要であったことが分かります。要は「教育を行うには十分な資産が必要」であることが前提に制度が成り立っているのです。株式会社立大学があまりうまくいっていない理由もそのあたりにあるのでしょうか?

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