Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

学生の交通安全意識を高める取り組み

high190です。
私が担当している業務のひとつに通学用自転車等の使用許可証発行があります。これは大学に通学するにあたり、自転車・原付バイクの登録申請を求めているものですが、なかなか交通安全についての指導までは行き届かないのが実情です。同様に学生教育研究災害傷害保険(通称:学研災保険)の業務も担当していますが、通学中の事故のことを考えると背筋が寒くなることもあります。学生の交通安全に対する意識を高めるのも大学の役割ではないかな・・・と思います。

大阪大(本部・大阪府吹田市)は吹田、豊中両キャンパス敷地内の道路で交通事故が多発しているとして、2008年度から「交通安全」の講義を始める。1時間半の1回のみだが、全新入生約3200人に履修を義務付ける“必修講義”。「大学生に何もそこまで」との声も聞こえそうだが、阪大は「社会に出る前に大人のルールを教えるのも大学の使命」としている。
阪大は、平日の午前7時〜午後10時、学生に車の乗り入れを原則禁止しているが、4回生以上や大学院生には必要に応じて許可証を発行。04年度から集計している事故統計によると、同年度は7件、05年度は5件だったが、06年度は21件に急増し、07年度もすでに21件(10月末現在)が報告されている。
吹田キャンパスでは05年5月、男子学生がバイクを運転中に自損事故を起こして死亡。今年4月には、女子学生が男子学生運転の乗用車にはねられて2か月の大けがを負ったほか、10月には男子学生3人乗りのミニバイクが乗用車と接触、1人が足を骨折する事故も起きた。
豊中キャンパス(豊中市)では、自転車事故が多く、スピードが出やすい通称「阪大坂」での自転車の通行を禁止しているが、ルールを守る学生は少ない。
大学側は、事故の起きやすい交差点の改良や、安全運転を呼びかける看板の設置、ルールを指導する警備員の配置などの対策を進めてきた。さらに学生の交通安全教育も必要と判断し、前期に複数回の講義を開いて、うち1回の受講を義務付けることを決定。安全衛生管理部の担当者が事故例を説明し、注意を呼びかけるという。
学生らの反応は様々。工学部の男子学生(21)は「キャンパス内で自転車やミニバイクに2人乗りをする人をよく見る。講義を必修にするくらい厳しくやらないと改善されないのでは」と主張するが、人間科学研究科の男子大学院生(31)は「大人の自覚さえあれば、講義は必要ない」と疑問視する。
文部科学省国立大学法人支援課は「入学時のガイダンスで交通安全を呼びかける大学はあるかもしれないが、必修というのは聞いたことがない」と話す。一方で、阪大の山本仁・安全衛生管理部副部長(理学部教授)は「重大な事故が起きかねない。必ず受講させ、学生の安全への意識を高めたい」と意義を強調する。

全新入生3,200人に必修で受講させるとは、大阪大学も思い切った取り組みをしますね。大学は学生に教育の場を提供しますが、同時に学生の安全も確保しなければなりません。特に交通事故で他者に怪我を負わせてしまうと、自分自身も大きなダメージを受けるでしょう。加害者・被害者ともにろくなことにならないというのが交通事故だと思います。ルールをしっかり理解してもらい、その上で快適に学生生活を送ってもらうのが理想的ですから、ちゃんとした理解を得られるよう、大学として取り組んでいくことが必要ですね。

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