Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

−小規模大学のロールモデルに−オープンソースソフトウェアを活用する嘉悦大学

high190です。
私は基本的に“ブラックボックス”が嫌いです。意図的に明らかにされていない情報や業務面で共有が図られていないなど、とにかく分かりにくいものが好きではありません。逆説的に考えると、それだけ自分がしっかり情報を握っておいて、管理・運用面で頭を使ってみたいと思っているということなんでしょうか。どちらにせよ、そんな部分も自分の性格を良く表しているのかなと思います。
さて、これまでもお知らせしてきましたが、大学のネットワーク環境をオープンソースソフトウェア(OSS)で構築し、Google Apps Education Editionを積極活用するなど、IT面で先進的な取り組みをしている嘉悦大学。先日はGoogleのスタッフも大学を訪れたようですが、OSSでの構築については非常に注目度が高いのでしょう。色々なメディアで取り上げられています。

[過去記事]
Adaptive Universityという発想(2007/11/09)
大学の情報ネットワークをオープンソースで構築(2007/10/17)
どうやら日本大学に続いてGoogle Appsを導入する大学が現れたらしい(2007/08/22)

これまでもお伝えする中で、正直なところ「どんな人が考えてこのプランを採用することになったんだろう?」と気になっていました。今回の記事では情報メディアセンターという部署の方々の顔写真付きで紹介されていますので、「あぁ、こんな人たちなんだな〜」と思いながら記事を読みました。

嘉悦大学情報メディアセンターの皆さん、結構若い方が多いんですね。そういったこともOSSでネットワーク構築をすることになった要因だったりするんでしょうか?本文を読むと、なかなか面白いことが書いてあります。

「自分たちのネットワーク、自分たちのシステムを自分たちの手に取り戻したい」

1社しか作っていないものを利用すると、そこに依存することになる。情報システムを自分たちの手に取り戻すには、そういったものは使わない方がいい

要求事項は環境によって全部異なる。そこを見極めるところは自分でやらなければいけない。表面的なところだけなぞって丸投げしても意味はない

今回のリプレイス以前は業者に任せきりの状況だったようですね。特に文系の場合、同じような大学は日本全国に結構あるのではないでしょうか。導入・構築はベンダーの提案を受けて保守もコミコミでお願いする。それでもって、異常事態が起こると保守業者に連絡を取らないと復旧できない…嘉悦大学では今まで抱えていた悩みに対する解決策をOSSに見出したという訳です。
私が勝手に提唱している“Adaptive University”という概念ですが、これは環境の変化に対して柔軟に対応できる大学のことを意味しています。今や大学にとって情報基盤はミッションクリティカルなものですから、小規模大学にとっては自らのネットワーク管理を自らの手で行うということが今後一般化していく可能性は十分にあります。嘉悦大学はそのロールモデルに近い大学であると言えるでしょう。ちなみに今回、リプレイスに関わったOSS Techという会社では嘉悦大学での導入事例を元に新たな製品を作ったようです。

今回の事例が全国に広がれば、Adaptive Universityの構想は現実化を帯びてきます。今後、どのような展開になるのかますます楽しみです。

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