Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学職員の時代は到来するのか?

high190です。
突然ですが、私は大学職員として仕事をしていることを誇りに思っています。高等教育機関として社会に有用な人材を供給する・・・教育が社会的に担う役割は大きく、そのために自分が働けているという思いが日々の仕事のモチベーションを支えてくれています。しかしながら、能力開発の機会があまりないことや定型的な業務が多いことに対しては、自分なりにですが改善していける部分がたくさんあるはずです。私自身が末端で経営改革を実行する人間としての知識・行動力が必要なはずです。

教員の陰に隠れがちだった大学職員の存在感が増している。18歳人口が減るなか、大学間競争を勝ち抜く経営の担い手として期待されているからだ。私大はもちろん、法人化を機に経営が求められるようになった国立大も事情は同じ。「地味」という大学職員のイメージは変わるかもしれない。
「教員は理不尽」
「先生(教員)の言いなりになるな、と若い職員に言っている」
山形大で11月に開かれた「大学職員サミット」。パネリストと会場の意見交換が特に熱を帯びたのは、教員とのかかわりをめぐる話題が出たときだった。
「専門領域という“たこつぼ”に逃げ込む教員を引っ張り出すのは職員の腕だが、教員以上にかたくなな職員もいる」。パネリストで玉川大知的財産本部の近藤誠事務部長は壇上で本物のたこつぼを取り出し、文部科学事務次官を退き9月に就任した結城章夫・山形大学長に贈った。「非協力的な教職員に直接言えないことを、つぼに叫んで下さい」とジョークを交えた。
サミットは、桜美林大大学院の高橋真義教授(大学アドミニストレーション専攻)のゼミ生らが企画した。多くは現役の大学職員だ。
高橋教授は日本私学振興財団(現・日本私立学校振興・共済事業団)職員だった約30年前、私大に職員として出向。何事も教員中心で、職員は反論すらしない関係を変えようと職員の勉強会を始めた。「いまや職員が教育サービスをプロデュースしていかないと大学は立ちゆかない。“職員の時代”だ」と話す。
文科省の杉野剛・私学行政課長によると、私大で職員の存在感が増した背景には、大学設置基準の大綱化(91年)でカリキュラムが自由に作れるようになるなど規制緩和の進展がある。職員が教員に働きかけ、他大学に差をつける戦略的な経営をしていかなければ、18歳人口が減るなかで大学間競争に勝ち残れなくなってきた、というわけだ。


●産官への窓口
大学職員は「定型的な業務しかしない」と言われることもあった。だが、産学連携など大学改革にいち早く取り組んだ立命館大では「教職協働」のかけ声の下、さまざまな局面に職員がかかわってきた。
びわこ・くさつキャンパスにある「理工リサーチオフィス」は、理工系の教員と企業、行政を結びつける総合的な窓口だ。職員約100人のうち「テクノプロデューサー」と呼ばれる人が20人いる。1人が10〜15人の教員を担当し、それぞれの研究内容を熟知。企業からの委託研究などの求めに合わせて教員とテーマを決めていく。
「複数の分野にまたがる研究では、まずプロデューサー同士が協力するのです」。同オフィスの野口義文課長は自信深げに言う。
今年春、東京駅前に「東京キャンパス」を開設した。これまで京都駅前で開いてきた校友大会を11月、オープンキャンパスと併せ「オール立命館デー」として東京で開いた。首都圏で存在感を高める一連の経営戦略を主に練ったのも職員だ。


●高校訪問部隊
一方、国立大も04年度の法人化に伴って予算配分や組織のあり方が各大学で決められるようになり、私学に遅れながらも職員の活躍の場が広がってきた。
山形大は昨年7月、入学志願者の減少傾向に歯止めをかけようと、学生や受験生、卒業生らと大学との関係づくりをするEM(エンロールメント・マネジメント)室を設置した。教員1人、職員4人の態勢。高校訪問拡充などを盛り込んだ入試緊急対策を作り、高校を訪れる「入試アドバイザー」の指導や実動部隊として活躍中だ。
入試アドバイザーも職員31人からなる。「教員は自分の学部のPRに偏りがちだが、高校訪問では全学の説明が求められ、それをする人が必要だった」とEM室の福島真司教授。田村幸男副学長は「EMは企業で言えばIR(投資家向け広報)で、大学の経営戦略そのもの。全学の教職員の協力が成否を握る」と話す。


◇学ぶ場次々、連携も探る
大学職員自らが大学経営などを学び、専門知識を身につける場も増えてきた。
今年春、東京・四ツ谷駅近くにできたNPO法人「大学職員サポートセンター」もその一つ。学生の職業選びや人生設計を手助けするための「キャリア支援」と、私大職員向け「財務管理基礎」のセミナー(各5回)を開講中だ。
「キャリア支援」は少人数形式。2回目の講座では、学生に自分の生き方を見つめてもらう方法などを話し合った。受講した私大職員は「就職活動で“人生の中間決算”を迫られる学生をどう支えたらいいか手探りだが、自分のやり方で良かったか確認できる」と効用を説く。
同センターは11月、大学職員を志望する大学3年生対象の「就活セミナー」も開いた。「大学はつぶれないと思っている学生は多いが、経営次第ではつぶれると知ってほしい」。小日向允(まこと)理事長は言う。
大学院では、桜美林大が01年度、国際学研究科の中に、大学経営を教える「大学アドミニストレーション専攻」を開設した。04年度からは通信教育課程も設け、北海道から沖縄まで各地の大学職員や私学経営者が学ぶ。08年度からは研究科に格上げする計画だ。
東大大学院にも05年度、教育学研究科に大学経営・政策コースができた。大学の管理運営や高等教育政策の教育を通じ、各大学の幹部職員の養成を目指す。名城大大学院は大学・学校づくり研究科を置いている。
国立大法人化を受け、職員の経営力を高めようと2年前にできたのが国立大学マネジメント研究会。会員は管理職を中心に約500人。改革事例のノウハウを共有し、横のつながりを持つこともねらう。

記事中の赤字部分はhigh190による強調です。“職員の時代”ですか、ちょっと今までのイメージとは異なるものです。大学は教育・研究がメインですが、それを支えるのが事務部門ということになります。つまり、先生方には教育・研究に専念していただき、経営に関する事項は事務職員が担当するべきもののはずです。最終的に大学としての最終決定権は学長にありますが、それまでの意思決定プロセスに職員が関わっていくことは今後必要でしょうし、よりトップマネジメントが適切な判断を下せるような情報を上申することが求められてくると、私は考えています。

[過去記事]
中央教育審議会大学分科会が考える、これからの大学職員像(2007/11/16)

上記の過去記事でも触れていますが、そのためには

  • インストラクショナル・デザイナー(教育方法改革の実践者)
  • 研究コーディネーター
  • 学生生活支援ソーシャルワーカー
  • インスティテューショナル・リサーチャー(学生を含む大学の諸活動に関する調査データを収集・分析する職員)

などの職能を持った“プロの大学職員”が必要です。私は経営改革職員=大学アドミニストレーターだと思っています。

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