Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

カレッジリンク型シニア住宅が来年から販売開始

high190です。
カレッジリンク型シニア住宅というものをご存知でしょうか?関西大学が実施する高齢者向けの共同住宅で、欧米では実施例がありますが日本での実施は初めてだそうです。*1最近ではシニア向けの講座が相次いで開設されるなど、大学はシニア層のマーケティングに躍起ですが、その中でも特に異彩を放つのがカレッジリンク型シニア住宅だと思います。

[過去記事]
シニア層を大学に囲い込め!(2007/06/19)
立教セカンドステージ大学が注目されている(2007/11/07)

私のブログでもシニア向けの記事を書くことが多いですので、取り上げてみたいと思います。

関西地域を中心に不動産仲介業を手掛けるウィル不動産販売(兵庫県宝塚市)は、住民が大学の聴講生などになれる高齢者向け共同住宅事業の販売代理業務を受託した。関西大学大阪府吹田市)と住宅運営者のアンクラージュ(兵庫県尼崎市)などが展開する共同住宅「クラブ・アンクラージュ御影」(神戸市灘区)が対象。2008年5月初旬にも開設する予定で、ウィル不動産販売は218戸を販売する。
住宅運営者と大学などがタイアップして、高齢者向け共同住宅の住民が大学の授業などを受けられる仕組みはカレッジリンク型シニア住宅と呼ばれる。米国では、こうした取り組みが進んでいるが、日本では今回のケースが初めて。
関西大学では「クラブアンクラージュ・御影」の入居者向けカレッジリンクのプログラムとして、文学部または大学院文学研究科の科目履修生や聴講生、社会人学生として受け入れをはじめ、公開講座や講演会などの大学の行事への参加などを用意する。
今後、少子高齢化が進む中で、人口・世帯数の減少による住宅販売の減少が予想される。ウィル不動産販売は、今回の受託販売事業を将来の主力製品と位置付け、専門の販売チームを編成し、販売実績とノウハウを蓄積していく考えだ。
カレッジリンク型シニア住宅は、入居者が時間を有効に活用して新しい知識を吸収したり、大学キャンパスでの若者たちとのふれあいが生活に張りを与えたりするという効果があるという。実際に他の高齢者施設の住民と比べて、「寝たきりになる割合が低い」「生活の満足度が高くなる」という傾向が示されている。

クラブ・アンクラージュ御影のサイトにはこんな説明が載っています。

認知症予防の医学データをもとに、関西大学と(財)社会開発センターと全面提携による日本初 の「カレッジリンク・プログラム」、これから起業をしたい方のためのサポート体制など、社会参加や世代交流のための環境を用意いたしました。各自が高い自主性を持ち、夢をいつまでも追い続けられるような、活き活きとしたライフスタイルを創造します。

最近では世代間での交流って本当に減っていると思います。3世代家族という言葉が死語に近い扱いになっているほど、世代間の交流は少なくなっていますので、コミュニケーションの媒介手段としてカレッジリンク型シニア住宅が活用できるということもありますね。もちろん、関西大学とのコラボレーションがありますので、その中で高齢者と学生が触れ合う機会がたくさんあるでしょう。
しかし、この取り組みは大学に新たな考え方を提案するものではないかと思い、非常に注目しています。大学キャンパスに隣接するシニア向け住宅と大学がコラボレーションすることで、大学のブランド価値を高めることにも繋がりますしね。そのためには、魅力的な提携プランが必要だと思いますが、学生たちにとっても人生の先輩たちとの交流を通じて学べるものは大きいでしょうし、高齢者の方々にとっては自分の孫のような学生たちと接することで大きな刺激になるでしょう。学生の社会教育面での効果がいかほどなのか、関西大学の取り組みに注目しています。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ

*1:この件については、「大学プロデューサーズ・ノート」のマイスター氏が詳しく解説していらっしゃいます。 http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50222030.html