Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学塾!!Blogの終了に伴う雑感

high190です。
日頃からとても楽しみにしていたブログがあります。それは「大学塾!!Blog」というジャストシステムが運営するブログなんですが、現役の文部科学官僚や大学教教員、予備校講師などなど多彩な顔ぶれが登場し、様々な観点から大学を論じています。特に大学組織の問題点を提起する記事が多く、私自身読んでいてとても参考になりましたし、刺激になったものです。その大学塾!!Blogなんですが、11月30日をもって更新を終了することになりました。連載記事の締めくくりとして、各担当者の方がこれまでの連載を振り返っているのですが、今日はその記事についてコメントしたいと思います。

(上記記事より一部抜粋)

●世間は「大学問題」に関心を持っていない

私も含め、世間の人は教育や学校について語ることが好きです。たとえば酒の席などで、「日本の教育は間違っている!」「いまの学校はここがおかしい!」と盛り上がった経験を持つ人は多いはず。良くも悪くも、教育や学校はそれだけ人びとの関心を集めやすいテーマなのです。
ところが、大学というれっきとした教育機関がそうした床屋政談の俎上に載せられることは珍しい。たしかにかつての時代、大学は一部の人間だけが進学するところでした。その分、人びとに縁遠い場所だったとしても無理はありません。しかし現在、進学率は50パーセントを超え、日本の大学は世界でも他に類を見ないほど大衆化が進んだとされています。にもかかわらず、ほとんどの日本国民が大学に関心を持っていないのです。
大学関係者の中には、「いや、大学に対する社会の風当たりは年々強まっているよ」という意見の方もいるかもしれません。しかし、たとえば小学校や中学校に対する(ときにはあまりに過激で不当と思われる)バッシングに比べれば、世間の大学への態度は“無視”に近いといっていいと思います。
私は、何も「大学はもっと叩かれるべきだ」と言いたいわけではありません。ただ、この世間からの無視のされっぷりが、大学の状況をあまりいいものにしていない大きな要因ではないかと感じるのです。
大学人が自己評価しているほどに、社会は大学の価値を認めていない。大学人自身がこのギャップに気づけるかが改革の成否を左右するのではないか。これが当初からあった私の直感です。当事者である大学関係者には案外ピンと来ない言い方かもしれませんが……。

なるほど、大学は社会から注目されていないというのは面白い視点だと思います。同時に大学人として反省しなければいけないのが、自分たちのしていることを分かりやすく説明し、積極的な情報発信をしていないということです。仕事においても、「掲示してあるのだから、それを確認しない学生が悪い」とか「業務量的に改善するところまで手が回らない」といった声があるのも事実で、もっと大学自体が自らの姿を確認して対外的に積極的な情報発信をしていくことが必要だと思います。Webサイトを作っておしまい、という姿勢では到底認知されるのは無理でしょう。自己評価についても辛口なコメントですね。ただ、「社会からの評価はあなたたちが思っているほど芳しくないよ」という指摘は大学人にとって耳の痛いところです。

(上記記事より一部抜粋)

いじわるな言い方をするなら、裸の王様だった大学が、社会に対し、「見捨てないでくれ!」と本気で叫び、接点を求めだした。おこがましい言い方ですが、私は素直にその勇気を評価したいと思います。一見ネガティブな動機のようにも見えますが、結局改革はこういう危機感、切実さからしか生まれてこないのではないでしょうか。

これは、人びとが学校を、活用すべき社会資源として対象化しはじめたことを意味しています。今後こうした流れは、ますます加速するでしょう。その中で大学も、特に教育機関として、社会に「使われる」存在になっていくのではないでしょうか。
大学内部には、こうした社会の側の大学への視線に抵抗感があるのかもしれません。しかし私は、こうした社会の期待を逆手にとっての改革に期待したいと思います。

「大学は裸の王様」
残念ながら、この指摘に対して、私は論理的に反論できる根拠を持っていません。確かにこれまでは裸の王様だったのかも知れないです。だからこそ、大学経営が危機に直面している今が改革のチャンスですし、そのためには大学がフレキシブルに組織変革を行い、大学自体の姿を変えていく必要があると私は考えています。私なりの仮説が「Adaptive University」という、変化に対して柔軟に対応できる大学像です。その実現のためには大学組織、ひいては大学職員が柔軟に業務をこなせる能力が必要であり、そのための大学アドミニストレーターなのではないでしょうか。

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