Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

関西で進む、学校法人の経営統合

high190です。
最近では大学間で学部を共同設置できるようになったり、関西方面で高大連携・学校法人間提携が進むなど、学校も競争化して合併・統合していくことが非常に増えてきています。大型の案件として注目を集めたのは、慶應義塾大学共立薬科大学の経営統合でしょうか。このケースでは双方のメリットが大きくシナジーが高いであろうと判断できたために成立したものです。こういった合併に関しては、どちらの法人が決定権を持つかによって話がだいぶ変わってきます。合意形成までのプロセスが非常に重要な位置を占めるのではないでしょうか。

[過去記事]
関大、北陽高校を合併へ──08年4月、併設校に(2007/03/18)
進む高大連携(2007/10/19)
公立高校と大学の高大連携(2007/11/03)

関西では高大連携・学校法人間の統合・合併の動きが加速しています。立命館大学をはじめとする大学間競争が激化する中で、各学校法人が生き残りをかけて競争力を付けようとしているのがよく分かります。またしても関西圏で学校法人間の経営統合が実現しそうです。

大阪工業大学などを運営する学校法人・大阪工大摂南大学大阪市)と、全国高校ラグビー大会で4連覇した学校法人・啓光学園大阪府枚方市)が年明けにも、経営を事実上統合することが26日、明らかになった。少子化が進んで、両法人とも学生・生徒を確保することが難しくなっており、中学から大学までの「一貫教育体制」を実現して教育機関としての魅力を高め、勝ち残りを目指す。12月初旬に正式発表する。
受験生と募集定員の数がほぼ並ぶ「大学全入時代」を迎え、複数の大学を運営する大阪工大側は、中学から大学までの一貫教育体制をつくるため、付属中学校の開設を検討してきた。
一方、中学・高校を併設する啓光学園側は、安定した系列の進学先がないこともあって、90年代は300人前後いた入学者数が、ここ数年は200人以下に。生き残りのためには進学実績の向上が欠かせず、教育体制の充実が期待できる大阪工大との統合が得策との判断に傾いた。
両校は26日に理事会を開き、統合の基本方針をそれぞれ承認した。学校法人同士は合併せず、啓光学園の理事会(7人)の過半数を大阪工大側が得ることで、実質的に経営統合する。それぞれが運営する学校はそのまま残る。
統合に伴い、啓光学園は来年4月から学校名称を「常翔啓光学園」に改め、男子校から男女共学校に変更する。大阪工業大学高校は、来春から「常翔学園高校」に名称変更することがすでに決まっている。啓光学園高校と大阪工業大学高校はともに、大阪を代表するラグビーの強豪として知られている。

今回の合併も「付属校を作りたい大学」と「安定した系列の進学先を求める高校」の利害が一致した形になります。今回は法人の統合は行わないようですね。啓光学園側が大阪工大から理事を7名受け入れることで実質的な経営統合と・・・どちらかというと、統合というよりも提携に近い形ですね。あえて法人合併をしない理由はどこにあるのでしょうか?ちなみに啓光学園カトリック修道会を運営母体としていますので、もしかすると修道会側の意向があるのかも知れません。