Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

学校債の発行には情報開示が必須

high190です。
私は日本の私立学校も、外部資金調達能力を付けるべきだと考えています。格付け評価の取得を行う大学が増えている理由には、大学の実力を客観的に評価できるようにすることで、資金調達力を付けるということも狙いの一つだと考えられます。しかし、実際のところ学校債を募集するには企業と同等の情報開示が必要になる見込みです。

文部科学省は私立大学が資金を調達する学校債を1億円以上発行する場合、企業並みに詳細な財務内容を開示するよう義務付ける方針を決めた。9月末に施行された金融商品取引法が、学校債を規制対象に加えたことを受けた。大学にとってはコスト増になるうえ、そもそも財務開示に不慣れな学校も多く「大規模な発行は事実上不可能になった」との声も出ている。
少子化で事実上の大学全入時代を迎え、大学の経営環境は厳しさを増しており、こうした大学にとって財務基盤の強化は急務。各大学は一段の経営努力が求められそうだ。

記事にもあるように、財務基盤の強化は帰属収入(授業料など、学校法人の負債にならない収入)に頼る日本の大学にとって大きな問題です。確かに財務情報の開示を厳しくすることは、学校債の発行という制度の健全性を確保することと投資家を保護する上で必要だと思います。ただ、学校法人は非営利組織なので利息率などの設定については、社債と同等には扱えないのではないでしょうか・・・それだけの財務基盤を有する学校法人は限られてくるでしょうしね。このことについて、紹介しているブログもありますので、そちらの意見も参考にしていただければと思います。

上記のブログを見ていて知ったのですが、今までの学校債は学校関係者以外は保有できなかったので、有価証券扱いにはならないんですね。しかし、公募型にすると流動性が発生するために有価証券と同等の扱いになると・・・法政大学では学校債を公募しようとしたところ、監査法人から監査費用が10倍!近くになるという指摘を受けたそうです。そうなると学校法人会計基準では対応することができない、ということが問題になってくるかも知れません。