Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大阪富国生命ビルに大阪版サピアタワーが建設予定

high190です。
今春、東京駅に新しくできたサピアタワー。全国各地の大学がサテライト・キャンパスを設置し、大学間競争が加速していることを世に知らしめる出来事となりました。

[過去記事]
JR東が東京駅前に高層ビル、大学も拠点設置、官民協力探る(2007/03/11)

サピアタワー・オープン後の様子(2007/06/07)

大学はもはや自らのキャンパスだけではなく、全国各地にサテライト・キャンパスを持ってオープン化していく必要があります。そうしなければ学生募集には勝ち残れない程、学生の囲い込みを行おうとしています。(これは低迷する地方大学や収容定員を満たせない大学だけの問題ではなく、多くの学生を集める大学であっても。「より優秀な学生」を囲い込むための戦略的取り組みなのです)

上記の流れに乗って、企業も産学連携を実施できる施設を作り、企業としてのブランド価値を高めようとしています。富国生命保険株式会社は、大阪富国生命ビルの建て直しに際して、大学のサテライト・キャンパスを誘致することを発表しました。

富国生命保険は15日、大阪富国生命ビル(大阪市北区)の建て替え計画を発表した。地上28階の高層ビルを、10年秋の完成を目指し建設する。大阪大が参加する産学連携拠点や、他大学のサテライトキャンパスを設けるなど、教育関連のテナントを誘致して独自色を打ち出す計画だ。
計画によると、4、5階部分には大阪大とアサヒビールなどが「食」「健康」などをテーマにした産学連携の活動拠点を設ける。このほか、京都造形芸術大が「大阪サテライト(仮称)」を設置し、一般市民向けの芸術講座などを開く。立命館大も「立命館アカデメイア@梅田(仮称)」を置き、社会人を対象にしたMBA(経営学修士)講座を開く計画だ。
総事業費は300億円。高さは133メートルで、6階以上はオフィス階となる。地下部分と地上の低層階には商業施設などが入居。ビルのデザインは国際的に有名な建築家、ドミニク・ペロー氏が担当する。

富国生命保険は15日、大阪・梅田に2010年完成を目指す新・大阪富国生命ビルの概要を発表した。現在の地上9階建てから、地上28階、地下4階の超高層ビルに生まれ変わる。賃貸オフィスのほか、大阪大学立命館大学京都造形芸術大学のサテライト事務所が入居し、産学連携や社会人向け講座の拠点となる。
各大学の事務所は4〜5階に入り、大阪大は健康などをテーマに、アサヒビールなどと連携して新ビジネス創造の研究に取り組む。立命館大はアジアで活躍できる人材の育成を目指し、社会人向けの経営大学院や市民講座を開講する。
地下2階〜地上1階は飲食店などの店舗、2〜3階は金融機関が入り、6〜27階がオフィスとなる。地下2階〜地上4階は吹き抜けで、待ち合わせや憩いのスペースも設ける。

富国生命保険は15日、大阪・梅田にある自社ビルの建て替え計画の概要を発表した。約300億円を投じて地下4階、地上28階建て約133メートルの複合高層ビルを建設する。2010年下期の完成予定で、テナントにアサヒビールなどが参画する大阪大学の産学連携施設や京都造形芸術大学立命館学園のサテライト拠点などが入る。
新・大阪富国生命ビルは延べ床面積が約6万2400平方メートルで、地下2階から1階までは商業施設、中層階は教育・研究機関、上層階にはオフィスが入る。都市再生特別地区に指定され、容積率は通常の2倍の1600%に緩和された。阪大などは病気予防に役立つ食材の試食体験施設、立命館は社会人向けの大学院などを設置する計画だ。
デザインはフランス国立図書館をデザインした国際的に有名なフランスの建築家、ドミニク・ペロー氏が担当し、ガラス張りの外観となる。
同ビルの建て替えを巡っては反対するテナント11社との間で訴訟を抱えていたが8月中旬までに和解していた。

サピアタワー開業時には「アカデミックディスカウント」という方式を使い、一般向けの賃料よりも安い金額で入居できるように配慮した結果、日本全国から有力大学が先を争って東京サテライトを開設する、という流れを作り出すことに成功しました。確かに、大学は非営利組織ですので、いわゆる超一等地に立つ物件への入居は躊躇われるところです。しかし、ビルの管理側に取っても大学が持つ情報発信力と集客力・ブランド力は魅力的だということです。特にオフィス街からのアクセスが良い環境であれば、ビジネスマンに対する教育機会を提供できることから、ビジネス・知の交流を促進させることが可能になります。

今回、富国生命保険の発表資料によると関西圏の大学が入居するようですが、関東圏の大学には売り込みを掛けていないのでしょうか?逆に、大阪には慶應義塾大学がサテライト・キャンパスを設置する計画を持っていますので、それに対抗するための措置ということも考えられなくはありませんね。

設計はフランス人建築家のドミニク・ペロー氏が担当するとの事。デザイン面でも注目したいところです。