Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

来年度政府予算では奨学金事業が削減に?

high190です。
学生担当しては聞き流せないニュースが飛び込んできました。

財務省は28日、来年度予算で文部科学省奨学金事業予算を削減する方針を固めた。奨学金を遊興費に転用する学生が目立ち、苦学生支援という奨学金本来の意味が薄れつつあると判断している。奨学金を返さず、回収不能に陥った延滞債権総額も急増、平成18年度には2000億円を突破しており、財務省では新たな保証制度の義務化も迫る構えだ。
文部科学省は来年度予算の概算要求で、奨学金関係予算として前年度を約210億円上回る1439億円を計上した。奨学生数は、平成19年度で全国の大学・短大生の3分の1に当たる114万人に膨らんでおり、奨学生数の拡大を背景に奨学金関係予算は年々増加している。
ただ、財務省奨学金が「必ずしも苦学生でない人も対象に入っている」と指摘。無利子奨学金に比べて審査基準が緩い有利子奨学金まで含めると、年間所得が1344万円以下の世帯が対象で、大学生などの子供を抱える世帯の約8割が条件に当てはまる。審査の学力基準も緩く「手を挙げた人はだいたい奨学金がもらえる」(主計局)のが現状だという。
財務省によると、奨学金を電話代や海外旅行費など勉学以外の目的に費やす奨学生が増加傾向にある。これに対して勉学費や書籍購入費は大幅に減少しており、財務省奨学金が勉学よりも娯楽に振り向けられているとみている。
一方、貸し出した奨学金が回収不能に陥るケースも急増している。18年度には延滞債権総額が2000億円を超え、15年ほどで約3倍に膨らんだ。旧日本育英会奨学金事業を引き継いだ日本学生支援機構が回収を進めているが、18年度に回収を行った1万件のうち、約半数の4395件は居所不明などの理由で未回収のままだ。
このため、財務省は奨学生に対する機関保証の義務化などを検討している。奨学生が毎月一定額の保証料を日本国際教育支援協会などの保証機関に支払うことで、返済が滞った場合、保証機関が本人に代わって返済する制度を導入することによって、財務省では未回収リスクを回避できるとみている。
文科省は「事業費の不足で、貸与の条件を満たしていても奨学金を受けられない学生が毎年いるのが現状」として予算増額の必要性を強調するが、財務省は「納税者に説明できるとは思えない」として削減方針を固めている。

苦学生支援という目的から逸脱している・・・確かにそういった部分においては、給付においても問題になるでしょう。しかし、学生の立場からすると全く遊興費を使わずに学生生活を送るということは不可能に近いのではないでしょうか。大学内の人間関係において、どうしてもお金を使わざるを得ない状況にある場合もありますし。勉強をしっかりするということは重要ですが、そのために奨学金の給付に係る予算を削減することが問題解決になるのでしょうか。延滞負債についても、もっと柔軟な考え方は出来ないのでしょうか?例えば、貸与者の就職が決まった時点で大学から日本学生支援機構に報告をし、労働条件を鑑みた上で月々の返済額を決めるなど、面倒ではあるかも知れませんが、ひとりひとりに合ったやり方でないといけないように思います。

財務省は「納税者への説明責任」を理由に削減する方針のようですが、事実貸与を受けられない学生もいる訳ですので、そうなると未回収の奨学金を上手に回収できる方法が必要ということでは?広報にしても、紙のポスターを大学に掲示するだけではなく、Web媒体も上手に活用してはどうでしょうか?