Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

教育費負担の増大は大学に何をもたらすのか

high190です。
ちなみに僕の勤めている大学、はっきり言って学費は高めです。でも、その分資産は潤沢なのか?と思われますが、結構厳しかったりします。「収支バランスにしても、資金の使い道にしてもグレーゾーンが多くてよく分からない??」というのが私の本音だったりします。上場企業は財務諸表の公開が義務付けられていますが、国費を投入されている大学(国公私立問わず)はまだ財務書類の公開が義務付けにはなっていません。

さて、学生個人に話を戻すと教育費負担は増え続ける一方だったりします。

国民生活金融公庫総合研究所が11日発表した「教育費負担の実態調査」によると、高校入学から大学卒業までに必要な教育費は平均で子供1人当たり1045万円に上ることが分かった。世帯年収に占める教育費(小学生以上の在学費用)の割合は34%に達し、旅行・レジャーや外食を控えたり、奨学金制度を利用したりして対応しているケースが多い。
高校・大学の累計費用を高校卒業後の進路別に見ると、私立大学の理系学部に進学した場合は1176万3000円、私立文系では1019万円、国公立大学では866万7000円。1人暮らしをしている子供への仕送り額は平均で年間104万円(月8万7000円)だった。
今年2月に国民公庫の教育ローンを利用した勤労世帯を対象に7月にアンケート調査を実施し、2677件の回答を得た。

これは紛れもない現状です。そうした現状に対して大学が何をしてやれるか?ということは極めて重要な事柄だったりします。学生へのサポートを手厚くすると、「ここは義務教育機関ではない!」なんていう学内からのお怒りを受けそうですが、学費に対して相応の対応をしないことには、学生に対して失礼な話です。もちろん、大学としての事情はあるでしょうが、ここで論じるべきことは学生への還元が最も重要な事柄のはずです。

資本と教育の関係性を考えると、色々な意見が出てきてまとまらないことが多いんですが、私が考えるところでは、学生への教育効果の最大化と大学への帰属意識を持ってもらうようなサポートの実現こそが今後も勝ち残っていける大学像のはずです。そのためには、学費相応の教育をしなければいけないし、教職員の能力を向上させていかなければならないのではないでしょうか。学生と教職員の距離が近いことも本学の「売り」ですが、そのためには教職員がユニークな存在でないと距離が近いだけ、学生からすると面倒な感じなんじゃないかと。破天荒な人間がいてもいいんじゃないか?と私は思います。

教育費負担が増大する中で、個々の大学職員が魅力的な職業人であることがますますこれから求められてくると思いますし、私自身クリエイティブな人間でありたいと思います。