Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学発の観光戦略@関西

high190です。
今年の夏、私の母はシニアサマーカレッジに参加し、大学生気分を満喫したそうです。
と同時に自分の息子が普段どんな仕事をしているのかを知る、いい機会になったとも言っていました。
(実際のところ、母が行ったところは国立大学なので若干異なる部分もありますが、そう違うこともないのかな?と思います)

(過去記事)
同志社大とJTB西日本、「京都観学研究会」を設立(2007/05/30)

シニア層を大学に囲い込め!(2007/06/19)

続報になりますが、最近は本当にシニア向けの市場開拓を狙っている大学が多いです。

京都の私立大学が中心になって、京都の歴史や文化に関係する講義と観光を組み合わせた滞在型の教育プログラムを相次いで始めている。キャンパスでの本格的な講義のほか、伝統文化の継承者や職人らによる講座や体験学習など大学の「知」と京都の特色を生かす。旅行会社とも連携し、団塊の世代をねらった大学の新たな取り組みが注目を集めている。
「笑う場合は、下から上を向きます」「物の投げ方や座り方など流派によって違います」。京都市右京区の佛教大アジア宗教文化情報研究所でこのほど、同大学客員教授大蔵流狂言師茂山千五郎さんが関東や九州などから来た受講者15人に狂言の指導をした。
佛教大通信教育部が今春から始めた教養講座「京都の歴史と文化コース」。受講者は京都の歴史や文化をテキストやビデオを使って自宅で勉強する。茂山さんの講義は前期2日間のスクーリング。10月には嵯峨野周辺での2泊3日のオプショナルツアーも行う。
受講した無職東通敏さん(65)=大阪市=は「京都の歴史に興味があった。茂山さんから直接話を聞けるなんてめったにない経験。ツアーにも参加したい」と意欲的だ。
京都や滋賀では、同志社大の「楽洛キャンパス」や立命館大や花園大など4大学による「京都歴史回廊文化塾」がスタートしている。今後も滋賀大の「シニアサマーカレッジ 平成滋賀塾」や龍谷大の「京都丹後塾」が行われ、大学での講義と名所旧跡の観光を組み合わせているのが特徴だ。
少子化で入学者の大幅な伸びが見込めない中、知的好奇心が旺盛な団塊の世代の大量退職が始まり、大学が新たな事業になるとみて力を入れているようだ。
大手旅行会社JTB(東京)は「大学は本格的な学びの場があり人材も豊富。地方の国立九大学と共同で行っている旅行プランも好評で、今後も大学と提携する動きは増えていくだろう」と話している。

やはり、団塊世代の方々にとって京都という場所は非常に魅力的なものなのでしょう。たくさんの文化財が残っていますし、学生時代に修学旅行で行ったことがあり、もう一度修学旅行気分を味わいたいと思っている人もたくさんいるでしょう。そうしたニーズを汲み取り、希望者のニーズにマッチングした企画を考えるということはとても大切なことです。

また、京都大学を始めとする歴史と伝統のある大学で文化について学ぶことができるというのは、単なる旅行から知的・文化的探訪にも繋がる訳ですから、仕事から退いてこれからの余生をどう過ごすか考えているシニア世代にとってはうってつけとも言えるでしょう。

といいことを中心に書きましたが、実際のところ、参加者からの評判はどうなのでしょうか。例えば思い描いていたものと違ったとか、宿泊先が期待していたものより小さかったとか・・・そういったマイナス面の情報が出てくると、今後の改善策としてさらにこうした取り組みを進化させていけます。どうか京都の名に恥じない上質なサービスを提供し続けて欲しいものです。