Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

プロのジャーナリストを大学で養成する

high190です。
龍谷大学早稲田大学では、来年度から「ジャーナリズムコース」を設置するようです。

専門性とプロ意識を備えたジャーナリストの育成を目指し、龍谷大学早稲田大学が来年度から相次いで「ジャーナリズムコース」を大学院内に設ける。専門的知識を持ち高度な職業意識を備えた「プロジャーナリスト」を育成するのがねらいだ。マスコミやジャーナリズムの研究者を育てる学科は無数にあるが、実践的なジャーナリスト育成に取り組む試みとして興味深い。
龍谷大は大学院社会学研究科(大津市)にジャーナリズムコースを設ける。新聞社や通信社で記者経験のある講師陣が国際ジャーナリズム、地域メディア、調査報道などについて教える。少人数教育でニュース・ライティング研究や記事制作実習まで実践的なカリキュラムを用意している。
卒業後の進路としてはマスコミのほか、インターネットの新しいメディアや企業・行政・団体などの広報部門も想定している。研究者の養成を目的とはせず、あくまで「専門的知識を有する職業ジャーナリスト」を輩出するのがねらいだ。社会人や留学生も受け入れ、幅広い人材を募る。
早稲田大は大学院政治研究科内にジャーナリズムコースを設置する。同科ではこれまで「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」を実施していたが、ジャーナリズムコースに統合してジャーナリズムの学位を授与する。同大広報課によると「ジャーナリズムの修士号を授与する、わが国における初めてのジャーナリズム大学院」としているが、龍谷大では社会学の修士の学位を与える。
早稲田大が発表したプレスリリースによると「プロフェッショナルとして倫理、知識、技能において真に実践的な人材であるだけでなく、専門的知識と市民社会の間に相互関係を作り上げる公共的コミュニケーションの担い手として、専門性においても卓越していなければならない。高度専門職業人としてのジャーナリストの養成を目指す必要がある」としており、プロとして高い能力を備えた人材の輩出を目指す。
ジャーナリストへの道としてはマスコミの就職試験を受けて記者職に就くほか、雑誌などのライターを経てフリーランスとして活躍するなど多様だが、大学が学位を授与してジャーナリストというお墨付きを与える意味では新たな取り組みとなる。
ジャーナリストに教科書はなく新聞社では先輩記者から学び、フリーでは取材や執筆活動を通じて独自で力をつけなくてはならない。両校では実践的な科目の履修や海外のジャーナリズム大学院の例も参考にしながら系統だった人材育成を実施する方針で、即戦力を持つ新しいタイプのジャーナリストたちがこうしたコースから生まれてくるかもしれない。

ちなみに中央大学大学院にはこんなコースがあります。

記事中にもありますが、「ジャーナリスト」という肩書きを持つ人は、新聞社や出版社などを経て独立していることが多いですよね。つまり、大学の課程で学べる内容と言うよりも、実社会での経験が物を言うことが非常に大きいのではないでしょうか。

ちなみにWikipediaの「ジャーナリスト」という項目には、次のようなことが書かれています。

欧米諸国では、政府機関が記者クラブに参加するための記者証を発行していたり、記者クラブに参加するための基準が存在しており、欧米における個人ジャーナリストの多くはそれらの基準を満たしている。また、基準すら満たさない者が一人前にジャーナリストを名乗ることは嘲笑の対象ともなる。

ここからも分かるように、ジャーナリストは所属こそないものの、個人としての力量を認められた人のみがジャーナリストになれるのであり、そういった人々はそれまでのキャリアをしっかり持っている必要があります。果たして、龍谷大・早稲田大では、即戦力のジャーナリストを輩出できるのでしょうか。