Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学のシステムはレガシーシステム?

high190です。
今の時期は春学期定期試験の成績入力、学生宛の発送など、色々と教務関連の業務で結構忙しくなります。
本学では採用している教務システムは、だいぶ「レガシー」な感じがするものでして、Web2.0ツールが大好きな私なんかが使うと「何でこんなに非合理的なシステムを採用したんだろう…?その時の市場パフォーマンスからすると高性能だったんだろうけど、現状からすると使いにくくてしょうがないなー」なんて考える訳です。

まあ、確かに経営的な観点からすると、システムを変更しても収入に直結する訳ではないので導入へのインセンティブは少ないです。
しかし、より迅速な学生対応や情報検索・分析が可能になると、それだけでも十分広報的な効果も上がるはずです。(私の考えですが、人のクチコミは予想以上に広報面で大きな影響力を持っていると思います)

導入を起案する際には、そうした目に見えにくいメリットを可視化し、定量化することが非常に重要ですよね。
さて、明治大学では新規アプリケーションの導入先としてSAPを選定したようです。

SAPジャパンは8月2日、明治大学がSAPの人事管理、顧客管理システムの採用を決定し、9月から順次稼働することを発表した。
明治大学では、人事管理アプリケーション「SAP ERP HCM」を採用することで、約3300人の教職員を対象に、人材管理・組織管理・給与情報管理・勤怠管理(主として事務系の職員が対象)などによる新人事システムを構築する予定だ。
また、顧客管理アプリケーション「SAP CRM」を採用し、卒業生情報を管理・活用する校友システムや募金システム、学生の就職を支援する就職システム、明大カードシステムを構築し、大学主導で行う「在学生・卒業生・大学間のコミュニケーション強化」を支援する予定だ。
明治大学では、学生はもちろんのこと、卒業生や父母、地域住民、社会人を含む、大学に関与するすべての構成員または利用者に対して開かれた大学を目指し、サービスの質の向上を目指している。そうしたユーザーのニーズに対応できる総合的な事務システムの構築を必要としていた。
同大学では、SAPジャパンの実績に加え、システム統合を可能にする柔軟な基盤を提供しているという理由から、SAPアプリケーションの採用を決定したとしている。将来的には、SAPが提唱しているエンタープライズ・サービス指向アーキテクチャエンタープライズSOA)を実現する基盤上で、学内のシステム統合も視野に入れ、環境の変化やシステムの拡張など、変化に対応できる基盤を構築することを目指すという。

3300人の利用対象者というあたり、さすがは明治大学という感じがしますね。
今回導入する「SAP CRM」はおそらく企業向けの統合パッケージではないかと思いますので、それに若干の開発を加えた形で使うのでしょうか。

なお、記事中には

明治大学では、学生はもちろんのこと、卒業生や父母、地域住民、社会人を含む、大学に関与するすべての構成員または利用者に対して開かれた大学を目指し、サービスの質の向上を目指している。そうしたユーザーのニーズに対応できる総合的な事務システムの構築を必要としていた。

なんてことが書いてあります。一般的に大学事務のイメージは「対応が遅い」「冷たい感じがする」などネガティブなものが多いですが、事務部門の改革を行うことでサービスの質的向上を積極的に図る必要があると思います。また、個々人ベースの話ではなく、全学的に実施すべきことです。

[過去記事] 早大とSAPジャパン、内部統制に備えた人材育成のための寄附講座を開設(2007/02/21)