Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

「仏教」と名の付く大学が消える?

high190です。
ちょっと気になるニュース記事がありました。

長い歴史を持つ仏教系大学が、相次いで大学や学部の名前から「仏教」の文字を外している。地味なイメージを持たれがちで、志願者が減っているためだ。西日本では来年、仏教学部のある4年制大学が消える。ただ、どの大学も「建学の精神は守る」としている。
弘法大師空海平安時代に開いた庶民のための学校「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」を起源とする種智院大(京都市伏見区)は、来年度から仏教学部を人文学部に改める。同大学は、西日本で仏教学部がある唯一の4年制大学だった。残るのは駒沢(東京都世田谷区)、立正(同品川区)、身延山(みのぶさん)(山梨県身延町)の3大学になる。
種智院大は、もとは仏教学部仏教学科だけの4年制単科大学だった。99年に仏教福祉学科を新設し、05年に社会福祉学科に改称した。ここ数年、仏教学科は入学者が定員の50人を1〜4割下回り続け、社会福祉学科も今春は定員100人の約半分しか入学しなかった。
同大学は、インターネットで大学情報を検索する最近の受験生が仏教学部のところで関心を失い、社会福祉学科の案内までたどり着いていないと分析。学部名が、募集の差し障りになっていると判断した。
杉野文篤事務長は「綜芸とは様々な学問、種智とは仏の教え。学部名を変えても、幅広い知識を身につけた人間の形成を目指す建学の精神は変わらない」と話す。
1400年前、聖徳太子が開いた四天王寺の仏法修行道場「敬田院(きょうでんいん)」が起源の四天王寺国際仏教大(大阪府羽曳野市)は来年4月、校名を四天王寺大に改める。もともと「四天王寺自体が仏教寺院の名前であり重複感がある」という声があったところに、志願者減が重なった。今春の入試は受験者が約1200人。10年前に5倍を超えていた倍率は2倍を切った。
森田俊朗理事長は「仏教の素養は就職先で高く評価されるが、葬式のイメージもあって抵抗感を持つ人もいる。誤解を解くためにエネルギーを使うのを避けることにした」。就職に重点を置いた課程に改めるが、全学部必修の仏教4単位は継続するという。
同大2年の吉梅耕平さん(20)は「改名で親しみやすくなり、高校の友達に京都の佛教大と間違えられることもなくなる」と歓迎する。
佛教大(京都市北区)も04年に仏教学科を史学科、日本語日本文学科と統合し人文学科にした。大学名自体はブランドとして確立しており、変更はしないという。大正大(東京都豊島区)も93年に仏教学部を人間学部に改めている。
他校の改名の流れについて、身延山大の望月泰幹事務局次長は「仏教者としては寂しいが、私学としては生き残りをかけた仕方のない施策だろう」。大手予備校の進路指導担当者は「早慶関関同立などブランド名が確立した大学を除けば、多くの私大は経営が厳しく、受験生を意識してイメージアップを図っている」と話す。

仏教」という名前が付くだけで志願者が集まらないとは…
イメージアップは重要ですが、創立の理念などを考えると大学のアイデンティティを変えてしまうほどのインパクトがあると思います。
恐らく、これまでもイメージ転換のための策を色々と打ってこられたのだと思いますが、効果はあまり上がらなかったのでしょうか。

私個人の意見ですが、教育には根本となる理念が必要不可欠だと思います。
私立学校はそれぞれに建学の精神があり、その理念を大切にしているからこそ、多様な教育が行なえているのです。校名から「仏教」を取ることで、今後仏教系の大学はどのように変容していくのでしょうか。