Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

高校卒業の到達度を測る?

high190です。
さて、何日か前ですが、大学に大きく関連しそうなニュースがありました。

文部科学省は、高校での学習状況を評価するため在学中に検定試験を実施することの検討に入った。大学入試の合否判定資料としても活用することで、全国で昨年相次いで発覚した必修科目の未履修問題のような、大学入試を過度に意識した一部の高校のあり方を是正することを期待する。その一方、大学側が検定をどう活用するのか未知数の部分もあり、同省は幅広く意見を聞いて実現の可能性を探る方針だ。
文科省は、13日に開かれた中央教育審議会文科相の諮問機関)の教育課程部会に提案。導入を検討すべき理由として(1)高校卒業までの到達度評価は結果的に、大学入試の合否で決まってしまっている(2)高校や第三者機関が学習成果を客観的に評価し、大学が選抜に活用する仕組みが考えられる――ことを挙げた。
この案には複数の委員が賛同。「大学入試センター試験を資格試験のような形としたうえで教科ごとに2級、3級といったグレードをつけ、大学ごとに入学のための条件を設けることも考えられる」(市川伸一・東大教授)、「履修したことを認定する第三者機関があれば、高校教育もより妥当になる可能性がある」(渡久山長輝・元日本教職員組合書記長)などの意見が出た。
実施する場合はセンター試験のように高校の終了段階ではなく、「在学中に受けられたり、複数回の受験が認められたりすべきだ」という検定の方法に踏み込んだ意見もあった。
文科省はまた、高校までの教育で重視する思考力や表現力などを含めた「総合的な学力」と、大学入試で測ろうとする学力との整合性をとる必要があると提案。これについても、「2、3日のペーパーテストでは限界がある。高校での学習状況や面接も考えないといけない」(木村孟・大学評価・学位授与機構長)、「入試では、高校での指導履歴が提示されるべきだ。今は何を学んだのかブラックボックス」(天笠茂・千葉大教授)など、前向きな意見が出された。
学習指導要領を検討する同部会は学校教育法の改正案が成立したことを受けて、年明けの答申を目指して作業中。検定制度の導入を含めた到達度評価のあり方についても検討する。答申を受けて指導要領が年度内に告示された場合、早ければ11年春から施行される。

なるほど、高校での学習を到達度ごとに検定で分けてしまおうという取り組み。文科省の検討内容の中には、「教科ごとのグレードを付けて大学ごとに入学の条件を設ける」なんていうのがありました。
この場合、大学入学のために一定の学力を保証されたものでなければ入学できないということになります。
一般入試の場合には、こうした形で学力を測ることは非常に適切ですが、内部進学制度を活用している大学の場合、付属校での学習状況と到達度について明確な方針を設けないと、学力面ではなく、経営面での入学者確保が優先されてしまう可能性もあります。


私が普段、大学で学生に接していると、確かに高校までの教育があまり機能していないのでは?と思うことがよくあります。
しっかり勉強させるということは、幼少中高大、全ての教育機関で担うべき社会的使命です。
そういったことを前提にするためにも、この検定が有効活用されるといいな、と思っています。