Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

新入生向けのピアサポート

high190です。
最近、ピアサポートを実施する大学が非常に増えてきています。
今日は制度導入に関する情報です。

新入生がスムーズに新しい生活を始められるように、単位の取り方からキャンパスライフまで、先輩たちがアドバイスする「ピア(仲間)サポート」制度を導入する大学が増えている。
大学側が相談窓口を設ける背景には、かつては学生寮などで行われてきた上級生との語らいが消えつつあるという事情もあるようだ。


大学が窓口 続々設置

東京工業大の大岡山キャンパス(東京都目黒区)。正門のすぐ右手にある「百年記念館」の1階ロビーに、今年4月、新入生の相談コーナーが設置された。月、水、金曜日の午後、2、3年生を中心とした17人の先輩たちが交代で待機。新生活にまだ慣れない後輩に、授業の履修方法やサークル活動などについて自分の体験を織り交ぜながら丁寧にアドバイスした。
東工大がこうしたピアサポートを導入したのは2年前。岡村哲至(てつじ)教授は「先輩が後輩の面倒を見る学生同士の関係が、最近は希薄化している。大学としてそれを補う必要がある」と狙いを説明する。
生命理工学部2年の鈴木典子さん(19)は「入学当初、授業についていけるか不安だったので、親身に相談にのってもらい、うれしかった。大学は冷たいという印象だったが、ほっとできた」と話す。今年は恩返しの意味で相談員に応募した。
相談員は、保健管理センターのカウンセラーを務める斎藤憲司准教授から、「柔らかい打ち解けた口調で」「うなずきながら相手の話を聞く」などカウンセリングの基礎の研修を受ける。1か月に1度は全員が集まって、情報交換や反省会も行う。
ボランティアではなく1時間につき1000円の謝礼が支払われる。
初年度は、知名度不足もあり、相談は10件ほどだったが、昨年度は約70件に増えた。5月以降も週1回の相談日を設けており、今年度の相談はすでに70件を超えるなど、制度もすっかり定着した。
国立大で1997年にピアサポートを初めて導入した広島大は、新入生に限らず全学生からの悩み相談に応じており、2000年には常設の相談室も設けられた。
日本学生支援機構が2年前に全国の大学、短大、高専1192校を対象に行った調査では、名古屋大、横浜国大など国立大の33・3%、私立大でも11・0%が、ピアサポートなど学生同士で相互に支援する制度を導入している。
これまでのメンタルヘルス相談などに比べて、敷居が低く、新入生が相談しやすい特徴があり、全国に広まりつつある。

[過去記事] 学生の悩み、学友と解消 「ピアサポート」在仙大学導入(2007/03/13)