Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学における非常勤講師の待遇

high190です。
本学でも非常勤講師の先生方に多くの科目を担当していただいています。
先生方とお話しすると、実務の傍ら大学で教える人、他大学の講義を掛け持ちしながら常勤教員の座を得ようと頑張っていらっしゃる方・・・様々な人が大学で学問を教えているのだなと実感しています。
そんな非常勤講師、実態としてはどうなのでしょうか?
給与や継続雇用に関する問題について、こんな記事がありました。

(中略)
平均年齢は45。3歳ですが、平均年収は306万円で、44%の人が250万円未満ということです。45歳といえば、私の職場(広島県)で言えば係長から課長補佐クラス。給料は毎月40万程度、年収にすれば700万円近く行くはずです。多分、この程度の学歴がある人なら、民間大手企業に勤めたらまあ、課長とかその程度にはなっているはずです。

大学で教員として教えられる人は、相応の学歴やキャリアを有しています。それでいながら、得られる年収は極めて低いというのが実情です。そんな中で、限りなく少ない常勤の大学教員募集に多くの人材が殺到しています。(その反面、常勤の大学教員に関してはモチベーションの問題等、様々な点で問題が指摘されているように思います。教員が持つ能力をうまく大学が引き出せていないということでしょうか)

(中略)
専任教員以上に教育活動に情熱を注ぎ、工夫を凝らした講義をしている非常勤教員も少なくありません。専任の方々には教育活動以外の様々な校務があることを差し引いても、同じ仕事に対してこの待遇の差はやはり納得しがたいものがあります(賃金格差もさることながら、雇用の不安定さ、社会保険無加入など) 。

非常勤講師の先生方の中には、専任教員以上に教育への情熱を傾けている人も多いです。そうした人へのセーフティネットを整備することが非常に重要だと思いますが・・・
大学全入時代に入り、私立大学は経営面で厳しい状況に置かれ、人件費を極力圧縮するようにしています。そのしわ寄せが非常勤講師に行っているとするならば、常勤教員の数を増やすとする次年度以降の大学設置基準改正案は現実と矛盾しているということになります。
拙速な変更案ではなく、長期的な視点に立った政策立案を文部科学省に期待したいところです。